国知事会 緊急対策本部
“移動抑える実効的対策を”

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域が全国に拡大されたことを受けて、全国知事会の緊急対策本部が開かれ、国に対し、都道府県を越えた人の移動を抑えるための実効的な対策を求める声などが出されました。

会議はオンラインで結ぶ形で開かれ、特に重点的な取り組みを進める必要があるとされた「特定警戒都道府県」の知事をはじめ、30人の知事が出席しました。

この中で、今月7日から宣言の対象となっている大阪府の吉村知事は「大阪府では休業要請をおこなったが、奈良県や和歌山県のパチンコ店に府民が行く事態となっており、府県を越えた移動をできるだけ避けるように積極的に発信していきたい。また、中小企業や零細企業にとって、いちばん深刻な負担となっているテナント賃料の支払いを猶予できるような法整備を国にお願いしたい」と述べました。

特定警戒都道府県となった北海道の鈴木知事は「これまでも安倍総理大臣などから、都道府県を越えた移動を控えるよう呼びかけがあったが、実効性があるものにはならなかった。羽田空港で、感染が疑われる人の飛行機への搭乗を断る取り組みが始まるが、これを全国の交通機関に広げてもらいたい」と述べました。

愛知県の大村知事は「きょうから県内の遊興施設や、人が集まる施設に休業要請をおこない、協力いただいた事業者には一律50万円の協力金を出すことにしたが、国には休業補償に関する統一的な方針と財源措置を要請したい。全国47都道府県が一致して、とにかく『移動は自粛しよう』と言い続けることを徹底したい」と述べました。

一方、全国で唯一感染者が確認されていない岩手県の達増知事は「岩手県は感染者が確認されていないが、リスクは日に日に高まっており、宣言の全国への拡大は、わが意をえたりという思いだ。接客を伴う飲食店への休業要請や、大型連休をにらんだ観光分野の対応の検討を進めるために、国の方針を明確にしてもらいたい」と述べました。

そして会議では、国に対して緊急提言を行うことを決めました。

緊急提言では、飲食店をはじめとした外出の自粛要請などによって多大な影響を受ける事業者に対して損失補償を行うこと、国民に対し、大型連休中に帰省や観光などで県外へ移動しないよう注意喚起を徹底すること、それに、医療現場で不足が続いているマスクや防護服などの医療物資の供給・調達を進めるとともに、ウイルス検査を必要とする人が速やかに受診できるような体制を整備することなどを求めることにしています。

移動抑制など知事会に協力求める 経済再生相

特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域の全国への拡大を受けて、西村経済再生担当大臣は、全国知事会の飯泉会長とテレビ会議を行い、大型連休に向けて、都道府県をまたいだ移動の抑制や、観光施設の入場制限などに協力を求めました。

この中で、西村経済再生担当大臣は、「緊急事態宣言」の対象地域の拡大について、「地域の流行を抑制し、特に大型連休の人の移動を最小化する観点から全国を対象とした。もはや大都市部だけではなく、地方にも感染が広がりつつあり、強い危機感を持って対策にあたっていきたい」と述べました。

そのうえで、接触機会の8割削減を目指し、外出の自粛をさらに徹底することに加え、大型連休に向けて、不要不急の旅行や帰省など、都道府県をまたいだ移動を抑制することや、観光施設の入場制限やイベントの中止などを事業者に要請することなどに協力を求めました。

これに対し、飯泉会長は「政府には、東日本大震災と同程度の大規模災害が発生したものと捉えて対応してもらいたい。感染状況のフェーズが変わったことは理解しており、連休明けに明るい展望が見られるよう、国とともに、しっかり取り組みたい」と応じました。

また、知事会側は、影響を受ける事業者に損失補償を行うことなどを求める緊急提言を申し入れました。

 “6道府県は特に強力な取り組みを”

「特定警戒都道府県」に指定されたうち、先週から対象地域としていた7都府県を除く、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県の知事と西村経済再生担当大臣が、17日夕方テレビ会議を行いました。

この中で、西村大臣は「6道府県は、すでに宣言の対象となっていた7都府県と同程度に感染がまん延している」と述べ、「特定警戒都道府県」とした理由を説明しました。

そのうえで、大型連休に向けて、不要不急の旅行や帰省など都道府県をまたいだ移動を抑制することや、観光施設の入場制限やイベントの中止などを事業者に要請することなどに強く取り組むよう求めました。

また、新たに設ける1兆円の「地方創生臨時交付金」について、「できるだけ使い勝手がよくなるよう制度設計したい」と述べ、休業する事業者などを手厚く支援したいという考えを伝えました。