型コロナ感染拡大を受け
論戦 参院決算委

参議院決算委員会では、新型コロナウイルスの感染予防のため、閣僚席や議員席の間隔が通常より空けられたほか、安倍総理大臣らはマスクを付けて答弁しました。

経済対策

この中で自民党の西田昌司氏は「感染拡大の影響でGDPの10%が毀損したとすると50兆円から60兆円の事業が必要になる。消費税を当面ゼロにして国民に30兆円近いお金を還付することで、公共事業と消費税減税で毀損を穴埋めできる」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「去年の消費税率の引き上げは、急速に進む高齢化の中で、全世代型社会保障制度への改革のためにどうしても必要だった」と述べました。そのうえで、「生活を支援し、雇用を維持し、経営を継続してもらうための支援を行っていく。同時に感染拡大が抑制された段階を見据えて、甚大な影響を受けている旅行や運輸、外食やイベントなどにフォーカスした短期集中で、大胆な需要喚起策などを講じ、厳しい状況にある方々に直接手が届く効果的な支援策を実施していきたい」と述べました。

そして安倍総理大臣は「来週、緊急経済対策を取りまとめて、前例にとらわれることなく、財政、金融、税制を総動員して思い切った措置を講じていく」と述べました。

医療体制

立憲民主党の野田国義氏は医療体制の整備について、「PCR検査、マスク、消毒液、ベッド、人工呼吸器、防護服も全く足りていないと言われている。また医療崩壊が懸念されておりいろいろな施設を早く押さえて緊急事態に備えていかなくてはいけない」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣はマスクの増産に取り組んでいると説明したうえで、「人工呼吸器については8000台を確保したが、さらに増産できるかどうかをお願いをしている。病床数については、東京などで感染者が増大することを想定し、例えば、東京オリンピック・パラリンピックの警備で、日本中から来る警察官のために確保している宿泊施設を使うことができるか、すでに検討に入っている」と述べました。

五輪・パラ

国民民主党の横澤高徳氏は東京オリンピック・パラリンピックの延期に関連し「決まったことにベストを尽くすのはアスリートの信念だが、安倍総理大臣からのメッセージを出してもらいたい」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「1年延期は、メンタルにおいても肉体的にも本当に大変だろうと思うが、世界や人類がコロナウイルスに打ち勝った証として、歴史的に極めて大切な大会になる。みんなが夢を託す大会となるよう、再び、来年に向かって頑張ってほしい」と述べました。

現金給付

公明党の竹内真二氏は、緊急経済対策をめぐり「家計に深刻な影響が生じている人たちの生活を守るため、収入減の方々に1人10万円の現金給付を提言した。速やかに給付を行ってほしい」と要望しました。

これに対し安倍総理大臣は「困難を乗り越えて、事業を継続し、生活を維持していただくために、思い切った現金給付を実施していきたい。生活に困難を来している家庭に必要な資金がしっかり行き届くように早急に具体策の検討を進めていきたい」と述べました。

また安倍総理大臣は、国内の感染状況について「爆発的な感染拡大、いわゆるオーバーシュートの発生との関係では、ぎりぎり持ちこたえている状況であり、少しでも気を緩めればいつ拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際の状況が継続している。また、幸いにしてオーバーシュートを回避できたとしても、瀬戸際の状態がある程度の長期にわたって続くことを意味している」と述べました。

自治体との連携

日本維新の会の石井苗子氏は、自治体との連携について「軽症の方にも必ず場所を確保し治って帰ってもらうことが必要だ。首都圏では、お互いに協力し、病状に合わせて施設を確保できるよう協力体制を作ってほしい」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「首都圏で急速な感染拡大を回避することは極めて重要だ。特別措置法に基づき都道府県にも対策本部が設置されたため、今後は、これまで以上に各都道府県と連携を密にしながら、一体となって対策を進めていく」と述べました。

自粛要請と補償

共産党の大門実紀史氏はイベントなどの自粛要請をめぐり「政府からの要請に応えたのだから、政府が補償するのは当たり前だという声が圧倒的だ。自粛と補償は、セットで考えるべきだ」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「自粛はさまざまな分野に広くおよび、相当の件数になるので、それぞれを税金で補償をすることはなかなかできない。大変な困難にあることは十分に承知しており、事業が継続できるよう、生活に困難を抱えている方々への支援も含めて、給付金を考えていきたい」と述べました。

桜を見る会

社民党の吉田幹事長は、財務省の文書改ざんや桜を見る会、東京高等検察庁の検事長の定年延長などについて「政治行政の根幹にかかわり、国会でも取り上げざるをえない。これらの問題に膨大な労力と時間を使ったことをどう思うか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は「各府省の職員には相当な業務量やプレッシャーが発生している。私自身の答弁も、さまざまな同じ質問をいただくので同じお答えをするほかないということもあったが、今後ともご質問があればお答えをさせていただきたい」と述べました。