本県知事選が告示 感染
拡大の中 17日間の選挙戦

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、熊本県知事選挙が5日、告示され、17日間の選挙戦に入りました。

熊本県知事選挙に立候補したのは、届け出順にいずれも無所属で、新人で社民党県連合が支持する元熊本市長の幸山政史氏(54)と、現職の蒲島郁夫氏(73)の2人です。

選挙戦では4年前に発生した熊本地震からの復旧復興にどう取り組むのかや、深刻化する人口減少と労働力不足への対策などを争点に論戦が展開され、3期12年にわたる現職の県政運営への評価が問われる選挙になる見通しです。

熊本県知事選挙をめぐっては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、選挙管理委員会が日程を変更するか検討しましたが、仮に延期してもそれまでに終息するという見通しは立たないとして、当初の予定どおり実施されることになりました。

投票は今月22日に行われ、即日開票されます。

幸山候補「エアハイタッチ」

幸山候補は感染拡大を防止するため告示後に予定していた屋内のすべての集会を中止するとともに、屋外で演説する場合でも有権者との直接の触れ合いをできるだけ避けながら、選挙活動に取り組む方針です。

5日朝、熊本城の敷地内にある神社で開かれた「出発式」は規模を縮小したため、出席者は当初の予定の半数のおよそ200人となりました。

「がんばろー!」といった掛け声もやめた静かな選挙戦のスタートで、幸山候補と支援者たちはハイタッチをするふり「エアハイタッチ」をして活気づけながら、選挙カーに乗り込んでいました。

街頭では自分からは握手しないよう心がけていますが、有権者に駆け寄った際、うっかり手を差し伸べそうになり、あわてて引っ込める場面もありました。

一方で、有権者から求めてきた握手には応じることもあって、そのあとは、準備していた消毒液を入念に使っていました。

幸山候補は選挙期間中、演説の様子を撮影した動画をSNSで発信するといった手段を活用し、訴えを有権者に届けていくことにしています。

幸山候補は「今回の選挙戦は新型コロナウイルスの影響で、歩行者や車が少なく、集会も開けない難しさがある。こういう状況だからこそ重要性が増すSNSをうまく活用していきたい。ただ、真心を込めて訴えていく選挙活動の基本は変わらないので、徹底的に有権者に呼びかけていきたい」と話していました。

蒲島候補 公務に専念 新型ウイルス対応で

蒲島候補は現職の知事として新型コロナウイルスへの対応を優先させる必要があるとして、告示後も職務代理者を置かず、公務に専念する方針です。

このため、5日もいつもと同じように午前8時半に公邸を出発し、公用車で県庁に向かいました。

5日に予定していた出陣式は取りやめたほか、必勝を祈願する熊本市内の神社での神事は執り行ったものの、本人は欠席して妻の富子さんがあいさつしました。

蒲島氏は、直接、有権者に向けた演説を行わなかった代わりに、県庁で報道陣を前にして今後4年間の政策を訴えました。そして、午前10時には新型コロナウイルスの対策会議に出席し、県の幹部に感染拡大防止に向けた今後の対応方針を指示していました。

今後の選挙活動について蒲島知事は感染拡大を防止したいとして、少なくとも今月15日までは選挙カーによる遊説を行わないほか、街頭演説や屋内屋外を問わず、集会についても実施しない方針です。

そのうえで電話やホームページ、それにSNSを積極的に活用することで、みずからの訴えを有権者に届けたいとしています。

蒲島候補は「いつものように皆さんの所に行って私の思いを語り、握手をしたり、ハイタッチしたりすることはできませんが、今回は人命や健康を守ることを最大限にさせていただきたい」と述べました。