ジタル市場の法整備で
GAFAに協力要請

デジタル市場取り引きの透明性の確保に向けて政府が法整備を検討する中、菅官房長官は、GAFAと呼ばれる巨大IT企業4社の幹部に対し「各社が自律的に改善に取り組んでいくという新しい形でルール整備を行いたい」と協力を求めました。

GAFAと呼ばれる巨大IT企業が独占的な力を強めていると指摘される中、政府は、デジタル市場の取り引きの透明性を確保するため、大規模なオンラインショッピングなどを運営する企業を対象に、契約条件の開示を義務づけるなどの法整備を検討しています。

これに関連して、政府は12日朝、総理大臣官邸に、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の幹部を招いてヒアリングを行いました。

この中で、各社からは取り引きの透明化には理解が示された一方「オンラインの商品はオフラインの商品と競争関係にあり、大規模なオンライン事業者のみを対象にするべきではない」などと慎重な検討を求める意見も出されました。

これを受けて菅官房長官は「変化が著しいデジタル市場では、国が大枠を示しながら、各社が自律的に改善に取り組んでいくという新しい形でのルール整備でなければならない。課題の解決にぜひご協力いただきたい」と述べ、協力を求めました。

首相「自主性尊重したルールに」来年法案提出へ

GAFAと呼ばれる巨大IT企業が、独占的な力を強めていると指摘される中、総理大臣官邸で開かれた未来投資会議では、デジタル市場のルール整備が議題となりました。

この中で、内閣官房の担当者は、大規模なオンラインショッピングやアプリストアを運営する企業を対象に、出品にかかる手数料や、商品の検索結果の表示順などをどのように決めているか明らかにすることや、事業内容の定期的な報告を義務づけるなどとした、新たな法案の考え方を説明しました。

これを受けて安倍総理大臣は、「新たな法案では、取引の透明化を求め、イノベーションを阻害しない形で、可能なかぎり自主性を尊重したルールとする。外国事業者に対する法律の適用も検討する」と述べ、海外の巨大IT企業も対象としたルールの具体案を年内にまとめ、来年の通常国会への法案提出を目指す考えを示しました。

また、12時の会合では、ネット上の広告のうち、顧客の情報から関心がある商品やサービスを推測して広告を表示する「ターゲティング広告」について、不快に感じる人が多いと指摘されていることから、実態調査を始めることを確認しました。

経団連 中西会長「非常にいい議論できた」

未来投資会議に出席した経団連の中西会長は「個人情報の扱いについては弊害も出ているのでルールは必要だと思うが、日本は、これからビッグデータをもとに知恵を出して、社会課題を解決するという大きな構想を展開しようとしているので、その制約になっては困る」と述べました。

そのうえで、中西会長は「日本には大きなプラットフォーマーはいないが、きょうの会議では、今後、育成策も含めていろいろなルールを作り、イノベーションを阻害しない方向で展開するという非常にいい議論ができた。来年の通常国会に法案を作ろうという総理の約束も得られ、大変前向きにとらえている」と述べました。

西村経済再生相「引き続き意見交換を」

西村経済再生担当大臣は、未来投資会議のあとの記者会見でGAFAと呼ばれる巨大IT企業から、新たな法整備に慎重な意見が出されたことについて、「公正取引委員会の実態調査では、オンラインモールやアプリストアの手数料引き上げなど、一方的な規約変更に対する苦情が多い」と指摘しました。

そのうえで、「運営企業側がそのようなことを行っていないというのであればむしろ法律を制定し、一定のルールで取引条件を開示することが、企業側の利益になる。引き続き各社と意見交換を行い、政府の意図を理解してもらいたい」と述べました。