山議員のけん責決議案
提出 自公「許されぬが…」

北方四島を戦争で取り返すことの是非などに言及した丸山穂高衆議院議員に対し、自民・公明両党は、反省を促すための「けん責決議案」を衆議院に提出しました。

決議案では「丸山氏の発言は憲法の平和主義に反し、国益を大きく損ない、衆議院の権威と品位を失墜させるもので、到底看過できず、猛省を促す」としています。

一方で、先週、立憲民主党など野党6党派が提出した議員辞職勧告決議案については「議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要があり、問題発言を理由に辞職勧告を決議したことはない」としています。

衆議院議院運営委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の菅原一秀氏は「発言は断じて許されないが、議員を辞めさせることにはならない」と述べました。

このあと、議院運営委員会の理事会で2つの決議案の取り扱いをめぐって与野党が協議しました。

この中で与党側は「けん責決議案」の可決に向けて賛同を求める一方、議員辞職勧告決議案には慎重な姿勢を示しました。

これに対し野党側は「憲法違反の発言で辞職を求めるべきだ」などとして、辞職勧告決議案への賛同を求めて与党側と折り合わず、引き続き協議することになりました。

自民 二階氏「波風立てぬよう努力を」

自民党の二階幹事長は記者会見で「今後、それぞれの議員が、発言や行動で波風が立たないよう肝に銘じて努力することが大事ではないか」と述べました。一方、野党6党派が提出している議員辞職勧告決議案については「慎重の上にも慎重であるべきだ。丸山氏本人の弁明も十分聞いて対応することが大事だ」と述べました。

公明 山口氏「出処進退はみずから決めるべき」

公明党の山口代表は記者会見で「与党は議員の身分を失わせることには慎重だが、野党が提出した議員辞職勧告決議案で示された理由には、けん責決議案と重なる部分もあるので与野党でよく協議してほしい」と述べました。

そのうえで「丸山氏の言動は許されざるものだ。北方領土の返還運動に重大な影響をもたらすことをよくわきまえて、出処進退は、みずから決めるべきだ」と述べました。

立民 手塚氏「辞職求めることが適切」

衆議院議院運営委員会で野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の手塚仁雄氏は、記者団に対し「与党が『議員の身分は重い』として、謙虚な姿勢を示していることは、一定の理解をしたいと思うが、丸山氏の発言は、憲法に規定される平和主義や戦争放棄を国会議員が否定するような発言だった。衆議院を代表して『ビザなし交流』に参加した背景も含め、院として辞職を求めることが適切だ」と述べました。

国民 原口氏「懲罰委での対応も議論を」

国民民主党の原口国会対策委員長は、記者会見で「与党が『けん責決議案』という、今までないようなものを出してきたが、懲罰委員会で弁明の機会を与え、処分するという形の議論もできるということなので、その対応を含めさらに議論を進めていきたい」と述べました。

維新 馬場氏「気を引き締めて活動を」

日本維新の会の馬場幹事長は、党の代議士会で「わが党の一丁目一番地であった『大阪都構想』が順調に進もうとしている今、一議員の発言によって、後退させるという状況が生まれることは非常に遺憾だ。参議院選挙があり、衆議院の解散もささやかれており、一度民意が離れれば、取り戻すのは非常に難しいので、気を引き締めて活動に臨んで頂きたい」と述べました。