岸田首相 韓国と首脳会談へ 原発処理水放出に理解求める考え

岸田総理大臣は、今週リトアニアで開かれるNATO=北大西洋条約機構の首脳会議への出席にあわせて韓国のユン・ソンニョル大統領と首脳会談を行う方向となりました。

岸田総理大臣は、11日から14日までの日程でリトアニアやベルギーなどを訪れ、このうちリトアニアではNATOの首脳会議にパートナー国として出席する予定です。

これに関連して松野官房長官は記者会見で「滞在中、韓国などと2国間会談を実施する方向で調整中だ」と述べ、日本と同じくNATO首脳会議に出席する韓国のユン・ソンニョル大統領と首脳会談を行う方向で調整を進めていることを明らかにしました。

会談で岸田総理大臣は、福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて、夏ごろまでに海に放出する計画について、国際的な安全基準に合致していると結論づけるIAEA=国際原子力機関の報告書を踏まえ、安全性の確保や風評対策を徹底していくことを伝え、理解を求めたい考えです。

また、日韓関係の改善の流れをいっそう確かなものにしていくため、経済や安全保障協力の進展に向けて認識の共有を図るほか、北朝鮮情勢をめぐっても意見を交わす見通しです。

“IAEA報告書は独立、中立”

福島第一原発にたまる処理水をめぐる計画を評価したIAEAの報告書は中立性に欠けるなどという声が周辺国から出ていることについて、松野官房長官は、報告書は専門家を含め第三者の立場でまとめられ、独立かつ中立的なものだと反論しました。

福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画について、IAEA=国際原子力機関は「国際的な安全基準に 合致している」とする報告書を公表しましたが、中国が「データの真実性や正確性が証明されていない」と反発しているほか、韓国の最大野党からは「中立性を欠いている」という声が出ています。これについて松野官房長官は、午前の記者会見で「報告書はIAEA自身が選定した外部の国際専門家を含め、独立した第三者の立場から科学的知見に基づいて国際安全基準に合致しているかどうかを評価したもので、独立かつ中立のものと評価している」と反論しました。その上で「科学的根拠に基づき、高い透明性を持って中国や韓国を含む国際社会に対して日本の立場を丁寧に説明し、理解が深まるよう努めていく」と述べ、今後も説明を尽くしていく考えを示しました。