少子化対策財源 「将来世代への先送りは本末転倒」財政制度等審議会

財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会は、政府が目指す少子化対策の強化に必要な財源について「将来世代への先送りは本末転倒だ」として、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしました。

財政制度等審議会は、29日の会合で政府が来月「骨太の方針」をまとめるのを前に、焦点となっている政策や財源に関する提言をまとめました。

提言では、政府が目指す少子化対策は「中長期的な日本経済の成長力や財政・社会保障の持続可能性に大きく影響し、国家の命運を左右する」と指摘しました。

そして、財源について「これから生まれる子どもたちの世代に先送りすることは本末転倒だ」として、赤字国債で賄うことは認められないという姿勢を明確にしました。

さらに「真に必要な施策に重点化するとともに、企業を含め、社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みの検討が必要だ」などとしています。

その際は、
▽子育て世帯の給付の増加が負担の増加を上回るようにすることや、
▽現役世代の保険料負担の増加を極力抑える取り組みが重要だと指摘しました。

提言の策定にあたって委員からは「財源を検討する際には、税も選択肢から排除すべきではない」という意見も上がったということです。

政府は、社会保障費の歳出改革などに加え、社会保険料に、新たな支援金として上乗せして集めることで、年間3兆円程度を確保したい考えです。

一方、自民党の茂木幹事長は28日「財源については、まずは歳出改革などを徹底していくことだ。社会保険料の引き上げや上乗せなどを考えている訳ではない」と述べています。

公明 “財源 まずは徹底した歳出改革で”提言

少子化対策の強化に向けて、公明党は、来年度から児童手当の拡充などに集中的に取り組むことや、財源は歳出改革で確保することなどを岸田総理大臣に提言しました。

少子化対策の強化に向けて、政府が来月はじめにも支援策や財源のあり方を盛り込んだ素案をまとめるのを前に、公明党は29日、高木政務調査会長らが総理大臣官邸で、岸田総理大臣に提言を行いました。

この中では、来年度から3年間で少子化対策を集中的に強化するため、児童手当について、所得制限の撤廃や支給期間の高校卒業までの延長、それに、第3子以降の支給額を今の倍の月額3万円に増額することを求めています。

また、大学などの授業料の減免について、現在の低所得層から多子世帯の中間所得層などにも拡大すべきだとしています。

一方、必要な財源は、まずは徹底した歳出改革で確保すべきで、国民に安易な追加負担を求めるべきではないとしています。

これに対し、岸田総理大臣は「与党の意見も反映して、政府案を最終決定したい」と応じました。

会談のあと、高木氏は記者団に対し「最終的に安定財源を確保するのは当然だが、今後3年間は『つなぎ国債』の考え方もあると思う」と述べました。