日本学術会議 民間法人にすること含め検討へ

日本学術会議の会員の選び方などを見直す法律の改正案について、政府は、今の国会への提出を見送ることになりました。学術会議との今後の議論で改正案の内容に理解が得られなければ、政府は、会議を国の機関から切り離して民間法人にすることも含め検討する方針です。

国の機関である日本学術会議について、政府は、会員の選考に関与する第三者委員会の設置などを盛り込んだ法律の改正案を、今の国会に提出する方針でした。

しかし、学術会議は「独立性が損なわれる」として、改正案に反対しているほか、立憲民主党の安住国会対策委員長も「これだけ当事者が反対する中で提出すれば、蛮行と言える」と述べるなど、野党側も反発を強めていました。

岸田総理大臣は20日、法案を担当する後藤経済再生担当大臣と協議し、これ以上、会議との対立が深まるのは避けるべきだとして、今の国会への提出を見送ることを決めました。

岸田総理大臣は「後藤大臣に対し、改めて学術会議と丁寧に議論し、早期に結論を得るように伝えた」と述べました。

政府としては、法案は、国の機関としての存続を望む会議の意向を尊重した内容で組織の独立性も確保されているなどとして、引き続き、理解を求めていく考えです。

一方で、会議側の理解が得られない場合には、国の財政支出など、会議が主張する要件も満たしつつ、国の機関から切り離して民間法人にすることも含め検討する方針です。

立民 泉代表「政府の過度な踏み込みはおかしい」

立憲民主党の泉代表は、党の会合で「日本学術会議の自治の中に、政府が過度に踏み込むことはおかしいと言ってきた。統一地方選挙の後半戦や衆参の補欠選挙を前に、強行する姿勢を見せたくないという理由なのかもしれないが、会員候補の任命を拒否した問題もまだ解決しておらず、政府には改めて任命を求めていきたい」と述べました。