「学童保育」の待機児童 東京23区全体で今年度2500人余

共働き家庭の小学生を放課後に預かる「学童保育」に入ることができない、いわゆる待機児童が、東京23区全体で、今年度2500人余りに上ることがNHKのまとめでわかりました。

「学童保育」は、共働き家庭の小学生を放課後に預かる施設で、利用者の数は就労する保護者の増加で年々増えています。

この「学童保育」に、定員の関係で入ることができないいわゆる待機児童の数について、NHKは、東京23区の自治体に今年度の状況をアンケート調査しました。

その結果、待機児童は23区全体で2514人に上りました。

内訳をみますと最も多いのが
▽江東区で313人
次いで
▽墨田区と葛飾区で281人
▽練馬区で273人となっています。

一方、世田谷区、渋谷区、豊島区、板橋区など8つの区は待機児童は「いない」と回答し、23区のなかでも、地域によって事情が大きく異なっていました。

国は、2023年度までの5年間でおよそ30万人分の学童保育を整備する方針ですが、その達成率は去年5月の時点で半分にとどまっています。

学童保育に詳しい新潟県立大学の植木信一教授は「学童保育は、これまで補足的な扱いだったが共働き家庭の増加で、今や必要不可欠となっている。誰もが利用できるよう、学童保育を十分に整備することが求められている」と話しています。

通知を受け取り「またか」

目黒区の40代の団体職員の女性は、2月、この春小学校3年生になる息子が公立の学童保育に落選したという通知を受け取りました。

結果を知った時、女性は「8年前ぐらいは、保育園に入れなかったので、学童でもそのおそれがあるとうすうす感じていました。「またか」という気持ちです」と打ち明けました。

女性は、毎日午後6時ごろに帰宅するため、学童保育が使えない4月からは民間の学童や習い事などを新たに申し込む必要があるといいます。

女性は「就業率が上がり、保育所を利用する家庭が増えていることは自治体もわかっていると思うので、当事者としては納得いかない気持ちがあります。安心して子どもが過ごせる場所がないと働くことは難しいので、学童保育は必要だと思います」と話しています。

公立の学童の数が少なく負担増

杉並区の40代の会社員の女性は、去年、小学3年生になる娘が公立の学童保育に落選しました。

このためフルタイムで働けず、午後4時までの時短勤務にせざるをえなかったといいます。

女性はことし1月から民間の学童保育を利用して、フルタイムで働くことにしましたが、月におよそ5万円の費用がかかることになりました。これは月額4000円で利用できた公設の学童と比べて大きな負担になります。

それでも女性が学童保育を利用するのにはわけがあります。

自分が帰宅するまで、ひとりで自宅で動画などを見て過ごすより、大人の目がある安全な場所で、友達と関わる時間を過ごしてほしいと思うからです。

女性は「子どもを見てもらえる場所があるというのはとても大事なことだと思います。核家族だと、なかなか子どもの居場所は見つけられません。公立の学童の数は、少ないのではないかと思います」と話しています。