東日本大震災12年 福島で震災追悼式 廃炉や帰還支援進める

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から12年となる3月11日、岸田総理大臣は福島県を訪れて追悼式に出席し、原子力災害からの復興に向けて原発の廃炉や住民の帰還に向けた支援を国が前面に立って進める考えを示しました。

福島県が主催する追悼復興祈念式の中で、岸田総理大臣は、東日本大震災が発生した時刻の午後2時46分に黙とうをささげ、犠牲者を悼みました。

そして追悼のことばで「巨大地震と大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故は多くの県民の皆様から日々の暮らしを奪った。最愛のご家族やご親族、ご友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えない」と述べました。

その上で、「原子力災害からの復興に向けては、中長期的な対応が必要だ。引き続き、国が前面に立って、復興の前提となる、福島第一原発の安全かつ着実な廃炉とともに、帰還に向けた生活環境の整備や産業、なりわいの再生支援を進める」と述べました。

内堀知事「復興を成し遂げる」

また、式の中で福島県の内堀知事は「『被災の地』『原発事故の地』と定義づけられた福島を誰もが夢を持てる『希望の地ふくしま』、誰もが誇りを持ち笑顔で満ちあふれた『復興の地ふくしま』へと変えていくため、全力で挑戦を続けて必ず復興を成し遂げる」と決意を述べました。

遺族代表「決して忘れない」

そして遺族を代表して、津波で両親を亡くした南相馬市の宮口公一さんが「震災の教訓をいかし、決して忘れないようにしていかなければならない。常に防災意識を持って生活することが大切だ」と述べました。

このあと、福島県立安積黎明高校の生徒らが合唱して震災の犠牲者を悼みました。

宮城 石巻 日和山 地震発生時刻に合わせ祈り

津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市では、市内の沿岸部を見渡すことができる高台の日和山に地元の人などが訪れ、地震が発生した時刻に合わせて犠牲者に祈りをささげていました。日和山は震災当時、津波から逃れるために大勢の市民などが避難してきた場所で、11日に設置された献花台には多くの人が訪れて花を手向けていました。

そして地震が発生した午後2時46分に追悼のサイレンが鳴り響くと訪れた人たちは海に向かって1分間、祈りをささげていました。

市内に住む73歳の女性は「日和山からの眺めは地震の前とあまりに変わり、何度訪れてもほろっとくるものがあります。親類や友人の多くが津波に流され亡くなりました。津波は本当に怖いものです」と話していました。

岩手 釜石 追悼施設で献花

岩手県釜石市の鵜住居地区にある震災の追悼施設「釜石祈りのパーク」には、市内の犠牲者のうち遺族が同意した1002人の名前が記された「芳名板」が設置されていて、朝から地元の人などが献花に訪れています。

家族3人で献花に訪れた市内の20代の男性は「この地区に住んでいた祖母を津波で亡くしました。この日になると悲しい気持ちになります。時間がたっても気持ちの整理はつきません」と話していました。