新型コロナ国内初確認から3年 「不安だ」依然84%

新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されてから3年となりました。
新たな感染者や亡くなる人は増加が続き、収束の見通しが立たない中、感染拡大防止と社会経済活動の両立をどう図るのかが課題となっています。

新型コロナウイルスは、国内では3年前の1月15日に初めて感染が確認され、厚生労働省のまとめでは、これまでに感染した人は累積で3100万人に、亡くなった人は6万2000人にのぼっています。

このうち、去年はじめの第6波以降は感染力の高いオミクロン株の影響で感染者が爆発的に増加し、1年間に感染した人は2700万人余りと、おととしのおよそ18倍に拡大したほか、亡くなった人もおよそ3万9000人と、おととしの2.6倍に増加しました。

ただ、ワクチン接種が進んだことや、致死率や重症化率が以前より低下したことから、夏の第7波以降は緊急事態宣言などの行動制限は行われず、療養期間が短縮されたほか、空港での水際対策が緩和されるなど、国の感染対策は大きく変わりました。

また、これに合わせて厚生労働省は感染症法上の分類の見直しに向けた議論を本格化しています。

ただ、去年秋からの続く第8波では、第7波をさらに上回る規模で感染が拡大し、亡くなる人も過去最多を更新していて、収束の見通しが立たない中、感染拡大防止と社会経済活動の両立をどう図るのかが課題となっています。

政府「5類」への見直し 慎重にタイミング探る

新型コロナが国内で確認されて3年が経過する中、政府は、新型コロナの感染症法上の位置づけを見直すタイミングを慎重に探っています。

新型コロナは現在、感染症法で厳しい措置がとれる「2類相当」に位置づけられ、医療費は公費で負担されていますが、政府はことし春にも、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に見直すことも含め検討を進めています。

厚生労働省の専門家会合は先週、医療がひっ迫した時に調整を行う機能を維持することなど必要な準備を進めながら段階的に見直しを行うべきだとする見解を示しました。

国内では感染者数の増加傾向が続くと懸念され、14日の一日に発表された死者の数が初めて500人を超えたほか、死亡する人の多くは高齢者が占めています。

また中国では、先月8日から1か月余りの間に死者が6万人近くになったと発表され、今週末の21日からは旧正月の「春節」に合わせた大型連休が始まり、人の移動も本格化する見通しです。

このため政府は、国内だけでなく中国の感染状況なども見極めながら、感染症法上の位置づけを見直すタイミングを慎重に探っています。

また、見直す場合でも、医療費の公費負担を当面維持することなども検討しています。

「不安だ」依然84% NHK世論調査

新型コロナウイルスへの感染が国内で初めて確認されてから1月15日で3年となりました。新型コロナに対する不安や感染対策、生活への影響などについてNHKは世論調査を行いました。感染拡大が「不安だ」という人は依然84%と多いものの、3年前に行った調査からは1割ほど減っていて、とくに若い世代では不安を感じる度合いが下がっていることが分かりました。

NHKは、去年11月1日から12月6日にかけて全国の18歳以上3600人を対象に郵送法で世論調査を行い62.9%にあたる2266人から回答を得ました。

調査結果によりますと、新型コロナの感染拡大への不安について「非常に不安だ」と「ある程度不安だ」を合わせて84%の人が不安だと回答した一方、「あまり不安ではない」と「全く不安ではない」を合わせて「不安ではない」と答えたのは16%でした。

「不安だ」と回答した人は3年前の11月には93%、おととしの11月には89%で徐々に減ってきています。

年代別では「不安だ」と回答した人は18歳から20代は75%と3年前と比べて13ポイント減少したほか、30代は71%で18ポイントの減少、40代は79%で11ポイントの減少、50代は83%で11ポイントの減少でした。

一方で60代は91%で5ポイントの減少、70代以上も91%で4ポイントの減少にとどまり、比較的若い年代では不安に感じる人が大きく減少した一方、重症化リスクの高い高齢者は減少の割合が少なく、年々、世代による受け止めの違いが広がっていることが分かりました。

また、自分で実践している感染対策について複数回答で尋ねたところ、「マスクや手洗い」は98%と、99%だった3年前と大きく変わらず依然として多くの人が行っていた一方「密閉、密集、密接の回避」は69%と3年前から9ポイント減少し「人との距離をとるソーシャルディスタンス」も61%と9ポイント減少していました。

政府の対応への評価と今後の対策について

新型コロナをめぐる政府のこれまでの対応をどの程度評価するか聞いたところ、「大いに評価する」と「ある程度評価する」が合わせて55%、「あまり評価しない」と「全く評価しない」が合わせて44%になりました。

『評価する』は前回の調査より4ポイント減った一方、『評価しない』は5ポイント増えています。

コロナ対策として、今後、政府に最も力を入れてほしいことを選択肢から選ぶ設問では、「治療薬やワクチンの開発」が49%で最も多く、次いで、「経済的な支援」が20%、「治療体制の拡充」が15%、「検査体制の拡充」が5%などとなりました。

前回の調査と比べて、「経済的な支援」は6ポイント増えた一方、「検査体制の拡充」は4ポイント減りました。

「感染対策」と「経済活動の回復」のどちらに力を入れるべきか聞いた設問では、「感染対策」と「どちらかといえば感染対策」が合わせて39%、「どちらかといえば経済活動」と「経済活動」が合わせて60%でした。

年代別では、男女ともに60代までは『経済活動』が『感染対策』を大きく上回り、特に若い世代ほど経済活動の回復を重視する傾向が見られました。

新型コロナの“法律上の扱い”の賛否は

新型コロナの法律上の扱いを、季節性インフルエンザと同じ位置づけに引き下げることの賛否について聞いたところ、「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて59%、「どちらかといえば反対」と「反対」が合わせて40%でした。

性別や年齢別では、男性は18歳から50代、女性は30代で『賛成』の人が70%以上を占めました。

『賛成』の理由について選択肢から選ぶ設問では、「感染しても重症化しづらくなっているから」が30%、「医療機関の負担が軽くなって必要な時に治療が受けやすくなるから」が29%、「経済を回さないと困るから」が22%などとなっています。

一方、『反対』の理由については、「規制が緩くなることで感染しやすくなるから」が34%、「重症化率や致死率が季節性インフルエンザより高いとみられるから」が32%、「公費で治療やワクチンを受けられなくなるおそれがあるから」が20%などとなっています。

専門家「基本的な感染対策を意識 社会や経済を回すことが大事」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授は「当初は未知のウイルスとして、不安を抱えていた人が多かったが、感染拡大から3年を経てウイルスの特徴や怖さ、対策を一人一人が理解できるようになってきていることで不安になる人が減ったと思われ、ある意味、この感染症に対応できるようになったことを示しているのではないか。ただ、少し油断をすると、医療現場はひっ迫し、急激な感染者数の増加につながってしまうことは変わらない。そうしたリスクを認識してもらい、基本的かつ効果的な感染対策を意識しながら社会や経済を回していくことが大事だ」と話しています。