上京時 県議会議長の移動にセンチュリー指定 知事はクラウン 山口県

山口県の東京事務所が、県議会議長らの上京時の移動手段として、「センチュリー」など最もグレードの高いハイヤーを繰り返し手配し、今年度はすでにおよそ150万円を支出していたことが情報公開請求でわかりました。
専門家は「政治家へのそんたくがあり、県民の感情に配慮できていない」と指摘しています。

山口地方裁判所は11月、山口県が公用車として高級車「センチュリー」を購入したのは、財務会計上の違法行為だなどとして、県に対し、村岡知事に費用2090万円を請求するよう言い渡し、県は不服として控訴しています。


判決のあと、県にはおよそ1か月の間に252件の意見が寄せられ、大半が県に批判的な内容だということです。

こうした中、NHKが情報公開請求を行って調べたところ、県東京事務所は県議会の議長と副議長が上京した際、今年度10月までの7か月間に移動手段としてハイヤーをあわせて31回手配し、1回を除いてすべてセンチュリーなど、最もグレードの高い車を指定していたことがわかりました。

一方、知事や副知事などが乗るハイヤーは36回手配していますが、いずれも2割ほど安いクラウンなどの中型車でした。
今年度は、最もグレードの高いハイヤーに少なくとも145万円が支払われ、利用経路の多くは宿泊施設と、官公庁や政党本部などとの往復で、中には空港から宿泊施設に直行するだけのケースもありました。

県東京事務所の担当者は「議長などから車種を指定されたことはなく、地元で使用している車と同じランクのものをこちらの判断で発注している」と話しています。


これについて地方自治に詳しい熊本県立大学の澤田道夫教授は「政治家に対する配慮があると思うが、こうしたそんたくは必要はなく、県民の感情に配慮できていない」と指摘しています。

千葉県 議長公用車「センチュリー」から「アルファード」に変更

千葉県議会では、経費削減の観点から、議長が使う公用車について従来のセンチュリーからミニバンの「アルファード」に12月、切り替えました。

自治体の公用車をめぐっては、11月、山口県が公用車として高級車「センチュリー」を購入したのは財務会計上の違法行為だなどとして、山口地方裁判所が山口県に対し知事に費用2090万円を請求するよう言い渡したほか、兵庫県では去年、リース料が高額だと批判を受けた知事の公用車「センチュリー」を解約するなど、各地で議論が起きています。

こうしたなか、千葉県議会では、議長が使う公用車について、業者とのリース契約で長く「センチュリー」が使われてきましたが、経費削減の観点から、12月から「アルファード」に切り替えました。

昨年度のうちに当時の議長と議会事務局が協議して車種を選定し、入札を経て今月から7年間のリース契約を結んだということで、これにより、リースの価格は月額13万2000円から、およそ7万5000円となったということです。

当時の議長だった信田光保県議会議員は「センチュリーには超高級車のイメージがあり、地域課題を発信する県議会の議長の公用車として、現在の厳しい社会情勢の中で本当に必要なのかと考え、見直すことにした」と話しています。

千葉県の知事の公用車については、去年の熊谷知事の就任にともなって、「センチュリー」から「アルファード」に切り替えられています。