政府 第2次補正予算案 国会に提出 早期成立目指す

政府は、物価高騰への対応などを盛り込んだ経済対策の裏付けとなる一般会計の総額で、およそ28兆9000億円の今年度の第2次補正予算案を国会に提出しました。

政府は21日朝の臨時閣議で、今年度の第2次補正予算案を決定し、国会に提出しました。

先月28日に取りまとめた経済対策のための追加の歳出として29兆861億円を盛り込む一方、今年度の不用な支出などを削減したことで一般会計の総額は28兆9222億円となっています。

▽家庭や企業の電気や都市ガス料金の負担軽減や、燃料価格の抑制など「物価高騰・賃上げへの取り組み」として7兆8170億円。

▽妊娠や出産に際して合わせて10万円相当の経済的支援や、スタートアップの育成などを行う「新しい資本主義の加速」に5兆4956億円を盛り込みます。

また、
▽国際情勢の変化や災害の発生で経済的な対応が必要な場合に備えるためとして、新たな予備費を設け、1兆円を計上します。

一方、財源としては、今年度の税収が当初の予想より3兆1240億円上振れすると見込むほか、昨年度の剰余金も活用するものの、不足する22兆8520億円を新たな国債の発行で賄います。

政府は補正予算案の早期成立を目指し、経済対策を速やかに実行に移したいとしています。

松野官房長官「日本経済を再生するためのものだ」

松野官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で「今回の補正予算案は、世界的な物価高騰と景気減速という世界規模の経済下振れリスクに万全の備えをするとともに、物価高や円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を重点分野として日本経済を再生するためのものだ」と述べました。

そのうえで「国会審議を通じて、各施策の内容や効果をしっかり説明するとともに、国民の手元に速やかに届けられるよう早期成立に全力を挙げていきたい」と述べました。

鈴木財務相「生活や事業活動を支え 難局を乗り越える」

補正予算案の提出に伴って鈴木財務大臣は衆議院本会議で財政演説を行いました。

この中で鈴木大臣は、景気の現状について緩やかに持ち直しているという政府の従来の見解を紹介しながらも「足元では国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響などからエネルギー・食料品価格などの上昇が続いており、世界的な景気後退懸念も高まっている」と指摘しました。

そのうえで鈴木大臣は「日本経済を取り巻く環境に厳しさが増している中、国民生活や事業活動をしっかりと支えることでこの難局を乗り越え、日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていく必要がある」として、補正予算案の一刻も早い成立に協力を求めました。

衆院本会議で審議入り 首相は閣僚辞任を陳謝

物価高騰対策などを盛りこんだ今年度の第2次補正予算案が、衆議院本会議で審議入りしました。
岸田総理大臣は、国会開会中の閣僚の相次ぐ辞任について「任命責任を重く受け止めている」と陳謝しました。

21日の衆議院本会議は、寺田前総務大臣の辞任を受けて、およそ2時間遅れて開会し、電気料金の負担軽減や、妊娠や出産に際しての10万円相当の経済的支援などを盛りこんだ、一般会計の総額でおよそ28兆9000億円の今年度の第2次補正予算案が審議入りしました。

冒頭、岸田総理大臣は、閣僚の相次ぐ辞任について、「国会開会中に辞任する事態となったことは誠に遺憾であり、任命責任を重く受け止めている。政策に遅滞が生じないよう政府一丸となって国政の運営に取り組むことで職責を果たしたい」と陳謝しました。

立憲民主党の吉田晴美氏は「寺田氏はたび重なる政治資金規正法違反、公職選挙法違反、脱税疑惑など、違法行為の連続だった。なぜもっと早く更迭しなかったのか。葉梨前法務大臣の更迭の遅れは外交にも影響を与え、大失態だ」と批判しました。

これに対し、岸田総理大臣は「寺田氏には丁寧に説明責任を尽くすよう指示してきたが、きのう本人から、補正予算案など重要課題処理の最終段階を迎えている時に、みずからの政治資金に関する質疑が続くことで、悪影響を与えたくないと辞任の申し出があった。また、葉梨氏からは軽率な発言によって迷惑をかけたくないと辞任の申し出があり、これを認めた」と釈明しました。