“感染拡大 オミクロン株と同程度なら行動制限せず” 官房長官

新型コロナの感染が拡大する中、松野官房長官は9日午前の記者会見で、今後の感染拡大がオミクロン株と同じ程度の感染力と病原性のウイルスによるものであれば、基本的には行動制限を行わない考えを重ねて示しました。

この中で松野官房長官は、新型コロナの感染状況について、「全国の新規感染者数は足元では増加傾向にあり、とりわけ北海道では過去最多となっているほか、病床使用率も増加傾向にある。全国的な感染拡大につながる可能性もあることから、緊張感を持って動向を注視していく」と述べました。

一方、「感染拡大がオミクロン株と同程度の感染力や病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら感染拡大防止策を講じることを基本的な考え方としている」と述べ、基本的には行動制限を行わない考えを重ねて示しました。

また、「全国旅行支援」などの観光需要の喚起策を中断する可能性について、「都道府県が実施の継続の可否を判断するものとなっているが、政府としても感染状況の動向を注意深く見守ったうえで適切に判断していく」と述べました。

そして、さらに感染者数が増え、医療の負荷が高まる場合などの具体的な対応策は、近く政府の分科会を開き、専門家の意見を聞きながら検討していく考えを示しました。

“夏の第7波のような感染拡大の可能性”新型コロナ 専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は増加傾向で今後、ことし夏の第7波のような感染拡大につながる可能性があると指摘しました。年末に向けて人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要で、一人一人が感染を予防するための行動をとるよう呼びかけています。

専門家会合は新型コロナの感染状況について、現時点でことし夏の第7波のときほどは急激な増加にはなっていないが、全国で増加傾向となり増加幅に地域差があると指摘しました。

特に北海道では第7波のピーク時に迫る高い水準の感染となっているほか、東北や北陸、甲信越、中国地方では大きく増加しているとしています。

また、年代別では、感染者数が多くなっている地域で、特に10代以下の子どもの増加幅が大きくなっているほか、高齢者の感染者も増えて、重症者数も増加傾向が見られ、病床使用率も全国で増加傾向にあるとしています。

そして、今後について大都市での短期的な予測などでは増加傾向が続き「この夏のような感染拡大につながる可能性がある」としていて、年末に向けて社会経済活動が活発化することで、人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要だと指摘しました。

また、現在主流になっているオミクロン株の「BA.5」のほか、今後は、海外で感染者数増加の要因になっていると指摘されている、オミクロン株の「BQ.1」などについても、割合が増加する可能性があり、注視が必要だとしています。

そして、必要な対策について専門家会合は、ワクチンの接種間隔が短縮されたことも踏まえて、高齢者をはじめ12歳以上の接種の対象者が、年内にオミクロン株対応のワクチン接種を完了するよう呼びかけることが重要だと指摘しました。

さらに、医療ひっ迫を防ぎながら重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するため、受診控えが起こらないように配慮したうえで、無症状の人が念のための検査のためだけに、救急外来などを受診することを控えるよう呼びかけが必要だとしています。

そのうえで改めて、場面に応じて正しく不織布マスクを着用することや換気、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、症状があるときは外出を控えることといった、基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

加藤厚生労働相「2週間後に前回のピーク超える可能性」

加藤厚生労働大臣は「新規感染者数は全国で増加傾向となっている。この傾向は今後も継続しいわゆる『第8波』につながる可能性もある。仮に、前回の感染拡大と同様のスピードで継続した場合、2週間後には前回のピークを超える可能性も想定されている」と指摘しました。

そのうえで「過去の経験も踏まえた対策を取ることが重要だ。都道府県には地域の実情を踏まえて外来医療体制を強化するよう依頼しており、厚生労働省としても必要な支援を行っていく」と述べました。

そして、国民に対し「基本的な感染予防対策の徹底とともに、若い方も含め、ワクチンを接種してもらいたい。発熱などの体調不良時に備えて、検査キットや解熱鎮痛薬を早めに購入しておくなどの準備を改めてお願いしたい」と呼びかけました。

脇田座長「感染拡大が続く可能性はある」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後の感染拡大の見通しについて「オミクロン株対応のワクチンの接種がそれほど進まず、免疫が減弱してきているほか、東京では夜間滞留人口が増えて去年の忘年会シーズンとほぼ同じくらいの人出になるなど、社会活動が活発化している。また、免疫から逃れるとされる新たな系統の変異ウイルスが今後増えるとも予測され、感染拡大が続く可能性はあるといった議論があった」と述べました。

そのうえで「『第7波』の感染者数や死亡者数が十分に下がりきっていない中で、すでに感染者数が増加している。今後、高齢者に広がると、重症者数や死亡者数の増加もありうる。個人でできる準備も必要で、オミクロン株対応のワクチン接種をしてほしい。また、自宅で抗原定性検査キットや解熱鎮痛剤をぜひ準備して発熱したときに受診するときの流れを確認してほしい」と呼びかけました。

また北海道の新規感染者数が過去最多となったことについて「この夏の『第7波』は西日本中心に拡大し、東日本は西日本ほど高い波がなかったことが影響して、現在、東日本でかなり大流行になっている可能性がある。これまでは大都市圏から地方に拡大していたが、いまはそうではなく、地域での免疫を持つ人の割合の状況や人と人の接触の程度の違いが影響してくるのではないか。北海道はすでにかなり気温も下がり、換気がされにくいことも影響している可能性がある」と述べました。

“コロナ第8波 入りかけか” 今月中の接種訴え 東京都医師会長

東京都医師会の尾崎会長は新型コロナの感染状況は「第8波に入りかかっていると考えることもできる」としたうえで、感染者数を増やさないためにも今月中にワクチンを接種してほしいと訴えました。

東京都医師会の尾崎治夫会長は8日の定例会見で、今の新型コロナの感染状況について、「第8波に入りかかっていると考えることもできる」という見解を示しました。

そのうえで今できる対策として、「ワクチンを打つことが大切で感染抑止になる。仮に感染してもワクチンを接種していると症状は軽く、体内でのウイルスの増殖は抑えられ、周りの人に感染させる力が弱くなると思われる」として、第8波の感染者数を増やさないためにも今月中にワクチンを接種してほしいと訴えました。

さらに新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、複数の抗原検査キットを用意することが必要だとして、「抗原検査はある程度ウイルスが増えないと陽性にならないので、検査キットは複数持っておくことが大切で、検査の注意点をしっかり把握しておいてほしい」と呼びかけました。