75歳以上の医療制度 年間保険料の上限額引き上げ検討開始
75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度について、厚生労働省の審議会は年間の保険料の上限額を現在の66万円から引き上げる検討を始めました。
後期高齢者医療制度の財源は、患者の窓口負担のほかは、
▽75歳以上が支払う保険料がおよそ1割、
▽国や自治体による公費がおよそ5割、
▽残りのおよそ4割は会社員など現役世代が支払う保険料からの支援金で賄われていて、高齢者の医療費の増加に伴い現役世代の負担が重くなってきています。
このため、厚生労働省の社会保障審議会は28日の会合で、現役世代の負担軽減を図るため75歳以上の人が所得などに応じて支払う保険料について、年間の上限額を現在の66万円から引き上げる検討を始めることを確認しました。
審議会では保険料の算定方法も見直し、所得が多い高齢者には応分の負担を求めていく方針です。
一方、28日の会合では、65歳から74歳までの前期高齢者の医療費に対する現役世代からの支援制度について、大企業に勤める人が加入する健康保険組合の負担を増やし、中小企業の従業員などが加入する「協会けんぽ」などの負担を軽くする方向で検討を進めることも確認しました。
保険料上限引き上げ 検討開始の背景は
後期高齢者医療制度は75歳以上を対象とする医療制度で、およそ1890万人が加入しています。
75歳以上の1人当たりの医療費は昨年度93万9000円と、75歳未満のほぼ4倍に上ります。
患者の病院などでの窓口負担は、所得に応じて1割、2割、3割と決められています。
そのほかを賄う後期高齢者医療制度の財源には、
▽75歳以上が支払う保険料がおよそ1割、
▽国や自治体による公費がおよそ5割、
▽残りのおよそ4割は会社員など現役世代が支払う保険料からの支援金が充てられています。
高齢化が進むにつれて支援金は増え続けていて、現役世代が加入する健康保険組合などの財政を圧迫しています。
このため現役世代の負担をできるだけ抑えようと、今月1日から一定の所得以上の人の窓口負担が1割から2割に引き上げられました。
これによって年間で▽公費を980億円、▽現役世代からの支援金を720億円抑えられると厚生労働省は試算しています。
しかし今後さらに現役世代が減少する一方、後期高齢者の医療費が増えると見込まれることから、収入が比較的多い高齢者に応分の負担を求めようというのが今回の議論のねらいです。
その具体策の1つとして、75歳以上の人が所得などに応じて支払う保険料の上限を今の年間66万円から引き上げることを検討することになりました。