検討会が提言 旧統一教会「解散命令請求も視野に質問権行使を」

霊感商法への対策などを議論してきた消費者庁の有識者検討会が報告書を公表し、旧統一教会について、「解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく質問権などを行使する必要がある」と提言しました。
また、消費者契約の「取消権」の対象範囲の拡大や行使期間の延長、それに、寄付の要求などに関する一般的な禁止規範などを定めるための法制化に向けた検討を求めています。

消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」は、霊感商法による被害者の救済や被害の未然防止策を検討するため、弁護士や民法の専門家など8人の委員が参加して議論を重ねてきました。

ことし8月29日から10月13日までに、非公開の会合も含めて7回開かれ、消費者契約法をはじめとした現行法の課題や寄付、献金の在り方などをめぐって議論が行われ、10月17日に報告書が公表されました。

報告書では、旧統一教会について、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした、または、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした宗教法人に該当する疑いがある」としたうえで、「所轄庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく報告徴収と質問の権限を行使する必要がある」と提言しました。

また、
▽消費者契約を取り消すことができる「取消権」については、要件の緩和による対象範囲の拡大や、行使期間の延長するための法制上の措置を講ずるべきだとしています。

さらに、
▽宗教上の寄付については、公益法人などに関する法律も参考としつつ、マインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となる寄付の要求などへの対応も念頭に、より幅広く一般的な禁止規範を規定すべきで、法制化に向けた検討を求めています。

また、
▽相談対応については、専門家とも連携し、特に児童虐待からの保護も視野に入れて、子どもの立場に立って、いわゆる「宗教2世」への支援を行う必要があるとしているほか、全国の消費生活センターに寄せられる相談情報の保存期間について延長すべきと指摘しました。

さらに、
▽消費者教育に関しては、被害に関する情報の迅速な公表や、幅広い世代に対して、霊感商法に関する情報を、教育の中でしっかりと伝えることが重要だとしています。

このほか報告書では、これまでの検討会で出た指摘事項として、
▽過度な献金による、生活に必要な資産が失われる危険性を防ぐために、一定範囲での献金について上限規制を考えるべきという意見や、
▽霊感商法の被害では、本人がマインドコントロールを受けているケースもあることなどから、家族による財産の保全や管理の制度を設けるべきといった意見があったことも記載されました。

そして最後に、消費者庁に対して、「検討会の提言を踏まえた施策をスピード感を持って着実に実施すべきで、法制上の措置を早期に行うこと。また、消費者庁の掌握事務の範囲を超える事項については、それぞれの行政機関における実施を強く働きかけるべきだ」としています。