ミャンマー軍がスー・チー氏側近の死刑執行 議連「最大級の怒りもって非難」

ミャンマー軍が、アウン・サン・スー・チー氏の側近だった元議員ら4人の死刑を執行したことについて、超党派の議員連盟は「最大級の怒りをもって非難する」とした声明をまとめました。

ミャンマー軍が設置した「国家統治評議会」の報道官は7月26日、アウン・サン・スー・チー氏の側近だった元議員ら4人の死刑を執行したことを正式に認めました。

これを受けて、ミャンマーの民主化を支援する超党派の議員連盟は緊急総会を開き、「最大級の怒りをもって非難する」とした声明をまとめました。

この中では「ミャンマー軍は、今もなお、ミャンマー各地で市民へ武力や暴力の行使、空爆や村々の焼き打ちなどの人権じゅうりん行為を繰り返している。今回の死刑執行も市民への殺りく行為にほかならず、最悪の形態の人権侵害は決して許さない」と指摘しています。

そのうえで、日本政府に対し、こうした殺りく行為が繰り返されることがなく、一刻も早くミャンマー国民に対する暴力行為や武力行使が停止されるよう、ミャンマー軍に、より強力かつ効果的な制裁や圧力を行使するよう強く求めています。

ミャンマー軍 死刑執行認め正当性を主張

ミャンマーの国営紙は、7月25日、アウン・サン・スー・チー氏の側近だった元議員ら4人の死刑が執行されたと伝え、ミャンマー軍に対する非難の声が国際社会で高まっています。

これに対し、ミャンマー軍が設置した「国家統治評議会」のゾー・ミン・トゥン報道官は、26日記者会見を行い「学校や政府の建物を破壊し、人々を殺害する計画を立て、テロに手を貸した。確たる証拠に基づいて裁かれた」などと述べ、4人の死刑が執行されたことを正式に認めました。

そのうえで「4人が犯した罪は、1度の死刑ではもの足りないほど罪深いものだ」と述べ、死刑執行の正当性を主張しました。

ゾー・ミン・トゥン報道官は、会見場にいる記者から、国際社会で非難の声が高まっていることについて意見を求められ「批判があることは分かっていたが、法律に従って刑が執行されただけだ」などと応じました。

“軍政による暴力行為” 各国外相共同声明

林外務大臣は26日、アメリカやイギリス、それにオーストラリアや韓国などの7か国の外相らとともに共同声明を出しました。

声明では「軍政による死刑執行は、人権と法の支配を軽視していることの表れで、非難されるべき暴力行為だ」としています。

そのうえで「軍政に対し、不当に拘束されているすべての人々を解放し、暴力ではなく対話を通じて平和を追求する義務を果たすよう強く求める」としています。

また、声明では、クーデターの影響で、ミャンマーで亡くなったすべての人々を追悼するとともに、遺族への哀悼の意を表明しています。

林外相「ミャンマーのさらなる孤立招く 深刻に憂慮」

林外務大臣は、閣議のあとの記者会見で「今回のミャンマー国軍の行いは、わが国が一貫して求めてきた被拘束者の解放に大きく逆行する動きだ。国民感情の先鋭化による対立の激化や、国際社会におけるミャンマーのさらなる孤立を招くものであり深刻に憂慮している」と述べました。

また、安倍元総理大臣の「国葬」での、ミャンマーへの対応を記者団から問われ「安倍元総理大臣の国葬儀については、ミャンマーに通報はしているが、具体的な参列者については、今後、調整されるもので、それ以上の答えは差し控えたい」と述べました。