G7で岸田首相 ロシア産の金 輸入禁止など追加制裁を表明

岸田総理大臣は、ドイツで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議で、ロシア産の金の輸入禁止などロシアに対する追加の制裁措置を表明しました。
また、中国による東シナ海などへの進出に触れたうえで、力による一方的な現状変更の試みは認められないと強調しました。

ドイツ南部のエルマウで開かれているG7サミットに出席している岸田総理大臣は、日本時間の6月27日午前1時半すぎから、外交・安全保障をテーマに討議を行いました。

この中で、岸田総理大臣は、ウクライナ情勢をめぐって「われわれは歴史の岐路に立っている。ルールに基づく国際秩序を維持できるかどうかが問われている。国連の安保理などの枠組みが十分対応できていない」と指摘しました。

そのうえで、追加の制裁措置として、▽ロシア産の金の輸入禁止、▽会計や信託などロシア向けの一部サービスの提供禁止、▽およそ70のロシアの個人や団体に対する資産凍結措置のさらなる拡大、そして▽90の軍事関連団体への輸出禁止措置の実施を明らかにしました。

また中国を念頭に「われわれはロシアによるウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更がまかり通る世界を拒否し、法の支配に基づく国際秩序を強化していく。ウクライナ情勢から誤った教訓を導き出す国が出ないようにしなければならない」と述べました。

そして、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国海警局の公船などによる領海侵入が続いていることや、東シナ海で一方的なガス田の開発が行われていることを挙げ、力による一方的な現状変更の試みは認められないと強調しました。

さらに、台湾海峡の平和と安定が重要であり、インド太平洋地域での安全保障協力を強化していきたいという認識を示しました。

また、北朝鮮による核・ミサイル開発をめぐって「ロシアのウクライナ侵略への対応に国際社会が注力している中、核・ミサイル開発をさらに進める機会の窓が開いたと北朝鮮に誤信させてはならない」と指摘し、すべての大量破壊兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現が必要だと強調しました。

G7 初日はエネルギーや食料の価格高騰をめぐって議論

G7サミット=主要7か国首脳会議がドイツで始まり、初日はロシアのウクライナ侵攻を背景とした世界的なエネルギーや食料の価格高騰などを巡って意見が交わされました。各国首脳はウクライナ情勢への対応について、さらに議論を深めていく見通しです。

G7サミットは、26日から日本の岸田総理大臣も出席してドイツ南部のエルマウで始まりました。

今回のサミットは、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力の強化と、ウクライナへの支援、それに世界的に懸念が高まる食料危機への対応などが焦点となっていて、議長国ドイツのショルツ首相は「われわれはサミットを通じて明確な結束と断固とした行動のシグナルを発信できると確信している」と述べました。

初日の26日は、世界経済をテーマに、ウクライナ情勢を背景としたエネルギーや食料の価格高騰などをめぐって意見が交わされました。

また、この日、アメリカのバイデン大統領が「ロシアの主要な輸出品の金について、G7は輸入の禁止を表明する」とツイッターに投稿しました。

バイデン政権の高官は、サミット最終日の28日にG7の首脳がロシア産の金の輸入禁止を発表すると述べていて、各国首脳はロシアへの圧力強化をはじめ、ウクライナ情勢への対応についてさらに議論を深めていく見通しです。

サミット2日目の27日にはウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで参加することになっています。

G7 岸田首相「結束強化を」世界経済テーマの会合で指摘

岸田総理大臣は、ドイツで開幕したG7サミット=主要7か国首脳会議で、世界経済をテーマにした最初の会合に臨み、ロシアによるウクライナへの侵攻を背景とした物価高騰から各国の国民生活を守るため、G7でさらに結束を強化すべきだと指摘しました。

ドイツ南部のエルマウで開幕したG7サミットに出席している岸田総理大臣は、日本時間の午後7時半から世界経済をテーマにした最初の会合に臨みました。

この中で岸田総理大臣は「ロシアのウクライナ侵略により、世界経済は、エネルギーや食料をはじめとする物価の高騰、サプライチェーンの混乱など、多くの難問に直面している。為替相場を含め、市場の急速な変動にも十分注意が必要だ」と述べました。

そして「G7は、各国の国民生活を物価高騰から守るため結束を強めていかなければならない」と指摘するとともに、途上国への食料支援の取り組みを加速すべきだという認識を示しました。

また「いまの物価高騰は単なる経済の問題ではなく、世界の平和、秩序の枠組みに突きつけられた挑戦だ。ロシアによる侵略という根本的問題を解決しない限り制裁は緩めることはできない」と述べました。

一方、会合で、岸田総理大臣は経済安全保障に関する討議を提案し、中国などを念頭に、経済的威圧に対してG7や同志国で連携を強化していくことを確認するとともに、来年、広島で開催するG7サミットに向け、議論を深めていくことで一致しました。

G7 日独首脳会談 ヨーロッパとインド太平洋の安全保障で一致

G7サミット=主要7か国首脳会議に出席するためドイツを訪れている岸田総理大臣はショルツ首相と首脳会談を行い、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分だという認識で一致し、ウクライナ情勢への対応などで引き続き協力していくことを確認しました。

岸田総理大臣は、日本時間の26日夜11時半すぎから、G7サミットのことしの議長国を務めるドイツのショルツ首相と会談し、ウクライナ情勢をはじめ、気候変動やエネルギーなど今回のサミットで扱う諸課題について意見を交わしました。

ロシアの軍事侵攻が長期化し、中国がロシアに配慮する姿勢を示す中、両首脳は、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分だという認識で一致し、ウクライナ情勢への対応や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて引き続き協力していくことを確認しました。

また、日本とドイツの首脳が参加する新たな政府間協議や、外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」の開催に向けて調整を進め、両国の安全保障協力をさらに強化していくことを確認しました。

そして、来年、広島で開くG7サミットなどに向けて連携していくことでも一致しました。

フランス マクロン大統領とも会談

また岸田総理大臣は、日本時間の27日午前1時前からおよそ40分間、フランスのマクロン大統領と会談しました。

岸田総理大臣が、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分であり、フランスのインド太平洋への関与の継続・強化に期待を示したのに対し、マクロン大統領は、安全保障や経済などさまざまな分野で両国の協力を強化していきたいという認識を示しました。