全国初「動物の福祉」掲げた札幌市動物園条例が成立

「動物の福祉」の観点から動物園の役割や責任を定める札幌市の「動物園条例」が、6日の市議会で可決・成立しました。いわゆる「動物の福祉」を掲げた条例は全国でも初めてです。

「札幌市動物園条例」は、6月6日午後開かれた市議会の本会議で全会一致で可決・成立しました。

条例では、札幌市の円山動物園で誤った飼育方法により動物が死ぬ事故が相次いだことへの反省などを踏まえ、動物が、苦痛や不安を感じず本来の行動がとれるようにするいわゆる「動物の福祉」を確保し、生物多様性の保全に貢献するなどとしています。

動物の尊厳を尊重するため、▽ヒツジやモルモットなどと触れ合う施設を除いて餌やりなどで動物に利用者が直接、接することや、▽動物に、人を模したような格好や行動をさせることはしてはならないと定めています。

また、▽専門的な知識や経験を持つ職員の確保や、▽動物の病気の予防や治療を適切に行える医療体制の整備なども盛り込まれています。

札幌市によりますと、こうした「動物の福祉」を掲げた条例は全国でも初めてだということです。

一方、2030年冬のオリンピック・パラリンピック招致について、市民に賛否を問う住民投票を実施するため共産党と市民ネットワーク北海道が提出した条例案は否決されました。

「動物園条例」成立の背景 「動物の福祉」とは

成立した「動物園条例」のポイントとなるのは、「動物の福祉」、そして「生物の多様性」です。

動物園は、これまで、市民の憩いの場として娯楽的な機能を求められる傾向がありました。実際、円山動物園でも開園当初は動物に芸をさせたり、洋服を着せたりしていた時期がありました。

しかし、いま、さまざまな生態系が存在する「生物の多様性」を守ろうという動きが国際的に広がる中で、動物が、苦痛や不安を感じず本来の行動がとれるようにする「動物の福祉」の観点が重要視されるようになっています。

条例では、ヒツジやモルモットなどと触れ合う施設を除いて餌やりなどで動物に利用者が直接、接することや、動物に、人を模したような格好や行動をさせることはしてはならないと定めています。

また、専門的な知識や経験を持つ職員の確保や、▽動物の病気の予防や治療を適切に行える医療体制の整備なども盛り込まれています。

札幌市は、成立を受けて、今後、専門家会議で、動物園が進める取り組みについて評価を行うほか、新たに「認定制度」を設けて、市内のほかの施設でも条例の理念に沿った動物の飼育を後押しすることにしています。