“障害者の投票に配慮を” 改善求めNPOが国に要望

選挙での投票に際し、配慮が十分でないため投票が難しくなるケースがあるとして、障害者団体などで作るNPO法人が国に対し改善を求める要請書を提出しました。

要請書は、全国の障害のある人などから寄せられたおよそ200の事例をもとにまとめたということです。

それによりますと、期日前投票が始まっても候補者の政策などを紹介する点字や音声による情報が届かないことがあるとして、改善を求めているほか、知的な障害のある人が理解しやすいよう分かりやすく書かれた選挙公報を発行してほしいなどと求めています。

また投票所への移動についても支援を進めたり、投票所のバリアフリー化を徹底したりするなど、投票しやすい環境を整えてほしいとしています。

そして、障害などがあり投票所に行くことが難しい人のための「郵便投票」の対象者を広げたり、障害などにより投票用紙に記入ができない場合、投票所の担当者に記入などをしてもらう「代理投票」の制度があることを広く周知したりしてほしいとしています。

要請を行った日本障害者協議会の藤井克徳代表は、「さまざまな事情から投票ができず諦めている人がいる。今の法律の中で対応できることも多いので、投票という大切な権利をもっと行使できるよう国や各地の選挙管理委員会は考えてもらいたい」と話しています。

障害ある人が直面する投票の壁

東京 荒川区に住む内田邦子さん(71)は、20代のとき、緑内障の影響で視力を失いました。
投票に向かう時、さまざまな場面で壁を感じると言います。

【投票所まで】

ふだん、買い物などの外出は自治体の制度を活用してガイドヘルパーに付き添ってもらっています。

利用には上限があるため、投票にはひとりで行くことが多いのですが、投票所の小学校に到着したあと、投票箱がある体育館までの行き方が分からないのです。

内田さんは「慣れていない場所なので、電柱やものにぶつかりながらやっとたどりつきます。来た人に声をかけて係の人のところまで連れていってくださいと助けを求めるしかありません」と話しています。

【投票でも壁が…】

実際の投票で内田さんは、点字で投票できる制度を利用しています。

ただ、点字で文字を打つ時、力がかかるため台が不安定でうまく打てないことがあったということです。

また、期日前投票をした際、点字で読める候補者の一覧が準備されてなかったこともありました。

係の人に候補者の名前を読み上げてもらいましたが、投票先がわかってしまうのではないかと不安が残りました。

内田さんは「名前を忘れないようにしようと読み上げの途中で点字を打つのですが誰に投票したのか分かってしまうと不安でした。障害のある人たちへの配慮が進んでいってもらいたいです」と話していました。