今年度の補正予算が成立 物価高騰対策の予算盛り込む

物価高騰対策を実行するための今年度の補正予算は、参議院本会議で5月31日、採決が行われ、自民・公明両党と国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

一般会計の総額で2兆7009億円の今年度の補正予算案は31日、参議院予算委員会で岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われたあと採決が行われ、自民・公明両党と国民民主党の賛成多数で可決されました。

これを受けて、31日夕方、参議院本会議が開かれ、討論で自民党は「感染症拡大やエネルギー価格の高騰にもしっかり目配りしながら備えなければならない。国民生活を守り抜き、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとしていくため万全を期していく」と述べました。

一方、立憲民主党は「長引くコロナ禍から国民の生活を守る予算となっていない。政府の対策は燃料価格の抑制にのみ限定された近視眼的なものと言わざるを得ず、根本的な物価対策を欠いた予算には断固反対だ」と述べました。

そして、採決が行われた結果、自民・公明両党と国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

補正予算には、原油価格の高騰対策として6月分以降の石油元売り会社への補助金などとして1兆1739億円、予備費を積み増すための1兆5200億円などを計上しています。

このうち、新型コロナ対応の予備費は使いみちを物価の高騰対策にも拡大していて、政府は国民生活への影響を最小限に抑えたいとしています。

国民民主 参院でも補正予算に賛成

今年度の当初予算に賛成し、自民・公明両党との政策協議を続けている国民民主党は、衆議院に続いて参議院でも補正予算に賛成しました。

足立参議院幹事長は、31日の本会議を体調不良を理由に欠席しました。

足立氏は、あらかじめ使いみちを決めない予備費を積み増すのは問題だとして賛成できないとの考えを示していて、当初予算に続いて本会議の採決に参加しない形となりました。

一方、国民民主党の会派に所属する無所属の柳田元法務大臣は、本会議で反対票を投じました。

柳田氏は当初予算にも反対していて、本会議のあとNHKの取材に対し「反対です」とだけ述べました。

岸田首相「原油や食料価格の高騰に切れ目なく対策を講じていく」

岸田総理大臣は31日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「迅速な審議に感謝申し上げたい。今回、補正予算の議論が必要になった背景には、新型コロナによる影響に加え、ロシアによる暴挙があることを改めて申し上げたい」と述べました。
そのうえで「力による一方的な現状変更は世界のどこでも起こりうるからこそ、あらゆる手段を講じ『次の危機』を防がなければならない。この10日間、その強い覚悟で日米首脳会談とクアッド首脳会合、補正予算の審議に全力で取り組んできた」と述べました。
そして「岸田政権は、原油や食料価格の高騰などに対し、昨年の経済対策、ことし4月の総合緊急対策、今般の補正予算と切れ目なく対策を講じていく。今後も厳しさを増す国際情勢にきぜんと対応するとともに、国民生活を守り抜くために全力を尽くす覚悟だ」と述べました。

自民 福田総務会長「国民に安心感持ってもらえるのでは」

自民党の福田総務会長は、31日、記者会見で「まずは一時的な価格高騰などへの対応がされるという安心感を国民に持ってもらえるのではないか。これがすべてではなく、家計の購買力を維持し、中小企業にお金を回すため、政策の総動員が必要であり、まだまだ仕事が残っている」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「いろんな形で対応できる予算を確保」

自民党の世耕参議院幹事長は、31日、記者会見で「新型コロナやウクライナ情勢など先行きが見通しにくい状況の中で、いろんな形で対応できる予算が確保できた。会期末まで、あと平日は11日しかないが、『こども家庭庁』を設置するための法案などがまだ残っており、最後まで緊張感を持ってすべての法案を成立させる覚悟で臨んでいきたい」と述べました。

立民 泉代表「内閣不信任に値するほどの態度」

立憲民主党の泉代表は、31日、記者団に対し「物価高と戦っていない予算で、極めて残念だ。消費税率の引き下げや低所得者への給付などやらなければならないことはたくさんあり、今回の補正予算では国民の生活は改善しない」と述べました。

そのうえで「われわれの建設的な提案を一顧だにせず、補正予算を無理やり通したことは、内閣不信任に値するほどの態度だ。今後の対応は、残された国会での質疑などをみて、総合的に判断していきたい」と述べました。

公明 山口代表「予備費を有効活用 国民生活を守る」

公明党の山口代表は、31日、党の参議院議員総会で「参議院選挙前後の政治空白の期間に、物価上昇や災害などで不測の事態が起こらないとは限らず、国民の不安を取り除くために、補正予算の編成を一貫して訴えてきた。今後、予期しない緊急の事態が起きれば、直ちに予備費を有効に活用し、国民生活を守っていきたい」と述べました。

維新 浅田参院会長「賛成する理由 全然ない」

日本維新の会の浅田参議院会長は「政府が物価高騰の緊急対策に使った今年度予算の予備費を元に戻すだけの補正予算で、物価が上がって困っている国民への対策は、一部しか計上されていない。あまりにもひどく、変なお金を変なところに積んでおり、賛成する理由が全然ない」と述べました。

国民 大塚政調会長「原油高対策は必要という観点から賛成」

国民民主党の大塚政務調査会長は「原油価格の高騰に伴う対策を講じた補正予算は必要だという観点から賛成した。新たな予備費が計上されたことは、予算の透明性、財政民主主義の観点から課題が多い。今後も、行政の監視に努めるとともに、改革中道の立場から、諸課題の現実的な解決と改善を追求していく」とする談話を出しました。

共産 小池書記局長「まったく無為無策な補正予算」

共産党の小池書記局長は、31日、記者会見で「物価の急激な高騰のもとで、ガソリン価格の抑制策のほかに、ほとんどまともな対策がない。予備費を積み増している点では財政民主主義を踏みにじるものだ。年金削減への対策も、賃上げ策も含まれておらず、まったく無為無策な補正予算だ」と述べました。