首相 “物価高騰 補正予算案成立させ対策に万全期す”

国会では、30日から参議院予算委員会で今年度の補正予算案の実質的な審議が始まりました。物価の高騰をめぐり、岸田総理大臣は、政府の対策は結果を出しているとして、今年度の補正予算案を成立させ、引き続き、対策に万全を期す考えを示しました。また防衛力の強化をめぐっては、経済を再生し、国力を高めるなど総合的な取り組みによって、国民の生命と財産を守り抜く態勢を万全なものにしていく考えを示しました。

立民 蓮舫氏 子ども政策について

立憲民主党の蓮舫氏は子ども政策をめぐり「去年生まれた赤ちゃんは、およそ84万人と6年連続の減少となった。少子化は国家の危機だ。岸田総理大臣は、予算も倍増すると言い切っているが、財源はあるのか。地方創生臨時交付金の交付を止めて、真に必要なものに整理をして、残ったものを子ども予算に回すべきだ」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「社会全体の中で子どもに必要な政策を吟味したうえで、負担のあり方を議論していく。その上で、予算全体を確保していく。こうした議論をこども家庭庁がスタートしてからやっていきたい。どれだけの財源や予算が必要なのか、そのプロセスの中で、しっかり判断をしていきたい」と述べました。

立民 小西洋之氏 物価高騰について

立憲民主党の小西洋之氏は「今、日本社会や国民が直面しているのは社会全体の物価の高騰であり、原因は円安だ。異次元の物価高騰は『岸田インフレ』とも言うべき失策ではないか。今回の補正予算案だけでは、とても足りず、補正予算案と、この間の岸田政権の政策では何も救われない」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「円安の影響があることは否定はしないが、わが国の物価の状況を考えるときに、経済対策は重要であり、さまざまな物価抑制策は結果を出している。引き続き、不透明であるからこそ、こうした対策を進めていくことが大事で、不測の事態においても、補正予算案の成立をお願いしてしっかりと備えていきたい」と述べました。

国立競技場の今後のあり方について

一方、国立競技場の今後のあり方をめぐり、末松文部科学大臣は「現在、日本陸連は世界陸上の東京招致に取り組んでおり、仮に招致が決定した場合は、大会開催に支障が生じないよう国立競技場の陸上トラックを存置するとともに、関係競技団体や地元自治体、関係省庁とも調整しながら、今後、球技専用スタジアムに改修するという基本的な考え方の見直しを図ることを考えたい」と述べました。

立民 森ゆうこ氏 北朝鮮による拉致問題について

立憲民主党の森ゆうこ氏は、北朝鮮による拉致問題をめぐり、「亡くなった拉致被害者家族会の前の代表の飯塚繁雄さんは、具体的な工程表を求めていたが解決の道筋を工程表として作るつもりはないか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は、「国際社会の中で拉致問題解決という大きな目的のためにさまざまな取り組みを水面下で外交努力として行っているが、今後の外交交渉などもあり、明らかにすることはできない。工程表を公表することはできないが、結果を導き出せるよう、外交努力などを進めていきたい」と述べました。

自民 藤木眞也氏 食料安全保障について

自民党の藤木眞也氏は食料安全保障をめぐり「農林水産省だけで解決できる問題ではない。岸田総理大臣の強いリーダーシップのもと、食料・農林水産政策を統括する新たな本部を立ち上げ、政府が一丸となって食料安全保障の強化に向けた議論を行っていくべきだ」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は、「私が本部長を務める『農林水産業・地域の活力創造本部』で、スマート農林水産業や輸出力の強化、グリーン化を推進しており、名称はともかく、この組織を改組する形で、今後、食料安全保障の強化についてしっかり検討し、政府一体となって取り組んでいきたい」と述べました。

豊かな生活ができる社会の実現について

また藤木氏は、「岸田総理大臣は『新自由主義からの転換』と述べて、総理・総裁に就任した。新しい資本主義の実行こそが、何より今、地域から求められている。新しい資本主義と食料安全保障を大きな柱として、すべての国民が豊かな生活ができる社会の実現に強力に取り組んでほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は、「新しい資本主義の基本的な考え方は、すべてを競争や市場に任せるのではなく、官民の協働が必要だということであり、官が呼び水となって民間の活力を導入して課題に立ち向かっていくということだ。ぜひ新しい経済モデルを進めていきたい」と述べました。

自民 自見英子氏 外国人観光客の受け入れについて

自民党の自見英子氏は外国人観光客の受け入れに関連し、「安心して、わが国で観光を楽しんでもらうために数千円程度の民間医療保険に加入していただくことは極めて合理的な要求で、加入の義務化を考えてほしい」と述べました。

これに対し岸田総理大臣は「個人旅行者に対する民間医療保険の加入の義務化は相互交流への影響などの課題があると承知しており、慎重な検討が必要だが、医療費の不払い歴のある人に対する入国審査の厳格化の周知・徹底を図ることなどにより、関係省庁で連携し、加入を強く働きかけていくことは考えられる。安全・安心な旅行環境に向けて幅広く検討しなければいけない」と述べました。

公明 三浦信祐氏 防衛力の強化について

公明党の三浦信祐氏は防衛力の強化をめぐり「予算のみが注目されるが、真の国防を考えるならば、持続可能な財源の確保、経済の弱点の解消、科学技術の発展、国内産業の強化と総合力で考えるべきだ。必要な防衛費の概念を総合的な視点でくみ上げてほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「科学技術の発展やイノベーションを強力に進め、産業の国際競争力を高める取り組みで経済を再生し、国力を総合的に高めるべきだ。有事に資金や物資を調達できる余力を確保できるよう、経済財政運営を進めることも重要で、総合的な取り組みで国民の生命と財産を守り抜く態勢を万全なものにしていく」と述べました。