韓国 外相候補 “慰安婦問題 日韓合意は両国間の公式な合意”

韓国で来月発足する新政権の外相候補に指名されたパク・チン(朴振)氏は、慰安婦問題をめぐる7年前の日韓合意について「公式な合意だ」としたうえで、元慰安婦の女性たちの名誉と尊厳を回復するため、日韓両国がともに努力する必要があるという考えを強調しました。

韓国で来月10日に就任するユン・ソギョル(尹錫悦)次期大統領から新政権の外相候補に指名された、最大野党のベテラン議員のパク・チン氏は20日、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意をめぐる立場について記者団から問われました。

これに対しパク氏は「両国間の公式な合意だ」としたうえで「被害者の名誉と尊厳を回復するために韓国と日本がともに努力する必要がある」と強調しました。

ただ、具体的な対応には言及しませんでした。

慰安婦問題をめぐる日韓合意についてムン・ジェイン(文在寅)政権は、公式な合意だとしながらも、これに基づいて設立された元慰安婦の女性たちへの支援事業を行う財団を解散することを2018年に発表しています。

ユン次期大統領は、新政権の発足に先立って、今月24日から5日間の日程でチョン・ジンソク(鄭鎮碩)国会副議長をはじめ、元外交官や専門家などからなる代表団を東京に派遣し、日本側と意見を交わすことにしていて、両国間の懸案を解決するための土台の構築につなげたいとしています。

日韓合意とは

日本と韓国の両政府は、両国の関係改善の大きな障害となってきた、慰安婦問題の最終的な妥結を目指し、2015年12月28日、韓国のソウルで、当時の岸田外務大臣とユン・ビョンセ外相による、日韓外相会談を行いました。

記者発表で合意事項が明らかにされ、岸田氏は「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。

さらに岸田氏は「日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷をいやす措置を講じる」としたうえで、韓国政府が設置する財団に、日本政府の予算でおよそ10億円の資金を一括して拠出し「日韓両政府が協力し、元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う」ことで合意したことを明らかにしました。

そして、両政府間でこうした事業を着実に実施するという前提で、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと確認したことを明らかにしました。

一方、ユン氏は、元慰安婦に対する事業が着実に実施されることを前提に、日本政府とともに「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べた上で、日本政府の実施する元慰安婦の心の傷をいやす措置に協力する考えを示しました。