北京五輪 主席が開幕宣言
外交ボイコットも

史上初めて夏と同じ開催都市で開かれる冬の北京オリンピックが4日開幕します。

ロシアのプーチン大統領など、25の国の代表が開会式に出席する予定です。

これにあわせて習近平国家主席は、各国の要人らと会談する予定で、新型コロナウイルスの感染拡大以降控えてきた対面での首脳外交を再開させます。

北京オリンピックは、4日から今月20日まで開催され、4日は日本時間の午後9時から、国家スタジアム、通称「鳥の巣」で開会式が行われます。

中国政府によりますと、開会式には25の国の代表が出席し、習近平国家主席が開幕を宣言することになっていて、3日はタイやシンガポール、カザフスタンなど各国の要人のほか、国連のグテーレス事務総長ら国際機関の代表も続々と北京入りしました。

これにあわせて、習主席は6日にかけて歓迎レセプションを開くなどして要人をもてなすことにしていて、このうち、ロシアのプーチン大統領とは、4日に2019年以来となる対面での首脳会談を行います。

これを前に、王毅外相はラブロフ外相と3日に会談し、ウクライナ情勢をめぐるロシア側の安全保障上の懸念について、理解と支持を示したということです。

習主席は、新型コロナウイルスの感染が拡大したおととし1月にミャンマーを訪れたのを最後に外国訪問はしておらず、その後、中国国内でも海外の要人との対面での会談はわずかしか行っていません。

アメリカなどが中国の人権問題などを理由に政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明する中で、習主席としては、オリンピックをきっかけに、これまで控えてきた対面での首脳外交を再開させ、各国との関係強化につなげたいねらいがあるものとみられます。

「外交的ボイコット」各国の対応分かれる

北京オリンピックをめぐっては、政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」をする国がある一方で、国家元首が訪問する国もあり、各国の対応は分かれています。

アメリカのバイデン政権は、中国の新疆ウイグル自治区で、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」が続いていることなど、中国政府による人権侵害を理由に去年12月、北京オリンピックとパラリンピックに公式の代表を派遣しない「外交的ボイコット」をすることを明らかにしました。

このアメリカの決定のあと、オーストラリア、イギリス、カナダなどが「外交的ボイコット」をすると相次いで表明しました。

日本は、閣僚など政府関係者の派遣を見送り、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長らが出席します。

韓国も、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は開会式への出席を見送った一方、国会議長とスポーツの担当閣僚は出席し、米中双方への配慮を示した形です。

EU=ヨーロッパ連合では、対応の一本化を目指す動きがまとまらず、デンマークは、中国での人権状況をめぐる懸念から政府関係者を派遣しないとしているほか、再来年の夏にパリ大会を控えるフランスは「外交的ボイコット」に慎重な姿勢を示し、開会式には出席しないものの、スポーツ担当相が選手の激励などのために中国を訪れるとしています。

また、オランダ、ベルギー、それにニュージーランドは新型コロナウイルスへの対応などを理由に政府関係者を派遣しないとしています。

ただ、いずれの国も、選手団は派遣します。

一方、アメリカに同調しない国もあります。

ロシアのプーチン大統領は去年12月、北京オリンピックの開会式に出席することをいち早く表明しました。

中国政府は先月、ロシアを含む25の国の代表が開会式に出席すると発表しました。

この中には、巨大経済圏構想「一帯一路」で関係を深める中央アジア5か国や中東のサウジアラビア、UAE=アラブ首長国連邦とカタール、東南アジアのタイ、カンボジアとシンガポール、それにEUではポーランドが含まれています。

このほか、国連のグテーレス事務総長やWHO=世界保健機関のテドロス事務局長なども開会式に出席するということです。

なお、北朝鮮は、新型コロナの感染が世界的に拡大しているなどとして、選手を含めて参加しない方針を発表しています。

インド外務省 “開会式などに外交官の出席見送る”

北京オリンピックの開会式などについて、インド外務省の報道官は、外交官の出席を見送ると発表しました。

インドと中国は国境が画定していない地域をめぐって長年対立していて、聖火リレーにインド軍との衝突で負傷した中国軍の兵士が参加したとして、「中国側がオリンピックを政治問題化させた」と指摘しています。

中国共産党系のメディア「環球時報」の英語版などは、おととし6月にインド北部ラダック地方で起きたインド軍との衝突で負傷した中国軍の兵士が2日、聖火リレーに参加したと写真付きで報じました。

この報道を受けてインド外務省のバグチ報道官は3日の会見で「中国側がオリンピックのような催しを政治問題化させたことは誠に遺憾だ。北京にあるインド大使館の臨時代理大使は開会式あるいは閉会式には出席しない」と述べ、外交官の出席を見送ると発表しました。

インドと中国は国境が画定していない地域をめぐって長年対立していて、おととし6月の衝突では双方の軍に死傷者が出ています。