国交省統計データ書き換え
幹部処分 大臣も給与自主返納

国土交通省が国の統計の中でも特に重要な「基幹統計」のデータを書き換えていた問題で、斉藤国土交通大臣は、事務次官を訓告、当時の統計担当の幹部らを減給とするなど合わせて10人を処分したと発表しました。
斉藤大臣みずからも、大臣給与と賞与を自主返納するとしています。

「基幹統計」の1つで、建設業の毎月の受注動向などを示す「建設工事受注動態統計」を巡って、国土交通省が不適切な処理を続けてきた問題で、第三者による検証委員会は、1月14日、データの書き換えが2000年度よりも前から行われていたなどとする報告書をまとめ、公表してこなかった国土交通省の対応を厳しく批判しました。

これを受けて、斉藤国土交通大臣は、21日の閣議のあとの記者会見で
▽山田邦博事務次官を訓告としたほか、
▽当時の統計担当の幹部らを減給や戒告とするなど合わせて10人を処分したと発表しました。

そのうえで斉藤大臣は、みずからも組織のトップとして一定のけじめをつけたいとして、大臣給与の4か月分と1回分の賞与の全額を自主返納する考えを明らかにしました。

また、
▽副大臣2人も給与4か月分と1回分の賞与全額を、
▽政務官3人が給与4か月分をそれぞれ自主返納するとしています。

国土交通省は、
▽ほかの統計で不適切な処理がなかったかどうかを検証し、再発防止策を検討するほか、
▽書き換えられたデータを復元して、統計を改定する手法を検討するため、有識者も交えた2つの会議を設け、信頼の回復につなげたいとしています。

斉藤大臣は、「統計は政策立案や経営判断の基盤として常に正確性が求められる。そこで不適切な処理が行われていたことは極めて遺憾であり、国民の皆様に深くおわびする」と述べ、一連の不適切な処理について改めて陳謝しました。

木原官房副長官「再発防止 信頼回復に取り組んでほしい」

木原官房副長官は、閣議のあとの記者会見で「国土交通省の不適切な事務処理や問題発覚後の対応に厳しい指摘が行われた報告書を踏まえ、国土交通省で厳正な処分が行われたと承知している。今後、国土交通省は、関係省庁とも連携しながら、」と述べました。

そのうえで「政府統計の信頼回復に向けて全力で取り組むよう岸田総理大臣から全閣僚に対し指示が行われている。総務省の統計委員会で、統計作成上の課題や問題点を抽出し、各府省の基幹統計について集計プロセスを点検するとともに、公的統計全般にわたる改善策を取りまとめてもらう」と述べました。

総務省 統計審査官室の職員1人を訓告など7人処分

国土交通省の統計データ書き換え問題で、事前に報告を受けていたにもかかわらず、適切な対応を取っていなかったとして、総務省は、統計審査官室の職員1人を訓告、黒田事務次官を厳重注意するなど7人を処分しました。

国土交通省が統計のデータを書き換えていた問題で、国の統計を所管する総務省の第三者委員会は、総務省が、去年8月に、国土交通省側から、データの二重計上があった可能性について報告を受けていたにもかかわらず適切な対応を取っていなかったとする報告書をまとめました。

これを受けて、総務省は、21日、国土交通省側からメールを受け取っていたものの、上司に報告していなかったなどとして、統計審査官室の課室長級の職員1人を、訓告の処分としたほか、同じメールを受け取っていた職員3人も注意としました。

また、黒田事務次官ら3人の幹部を厳重注意としました。

金子総務大臣は、記者団に対し「本来すべきであった報告などが行われず、注意を欠く対応だったと指摘を受けた。今後、統計委員会に各府省の基幹統計の集計プロセスの点検を行ってもらい、統計の品質確保、信頼性の向上に向け全力で取り組んでいく」と述べました。

立民 泉代表「隠蔽の有無など予算委で明らかに」

立憲民主党の泉代表は、記者会見で「処分が妥当かどうかは、今後、党の部会で検討したい。また、国土交通省内で隠蔽があったのかどうかや、その後の扱いが正しく改められたのかなどの経緯について、今後の予算委員会の中で明らかにし、再発防止も訴えていきたい」と述べました。

公明 山口代表「襟を正し再発防止を」

公明党の山口代表は、記者団に対し「第三者委員会の結論をもとにした厳正な処分だ。統計は、政策の分析や新たな政策をつくり上げるための基礎的な情報として極めて重要で、国民や国際社会の信頼にも結び付いていくものだ。襟を正して、再発防止にしっかり努めてもらいたい」と述べました。