沖縄が設計変更不承認
政府は対抗措置検討 辺野古

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画で防衛省が申請していた設計変更について沖縄県の玉城知事は承認しない方針を決め、国に通知しました。

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐって防衛省は、去年4月、埋め立て予定地にある軟弱地盤の改良に必要な設計変更を沖縄県に申請しました。

申請からおよそ1年7か月以上がたつ中、沖縄県は、24日軟弱地盤の調査が不十分であることや工事中のジュゴンへの影響など環境保全に十分配慮した対策がとられていないなどとして承認しないことを決め、25日午後4時半ごろ沖縄県の職員が沖縄防衛局を訪れ、承認しないと通知しました。

このあと玉城知事は、記者会見し「この設計変更申請の内容では普天間基地の危険性の除去にはつながらない。政府が十分な説明を行わないまま強権的に埋め立て工事を強行する姿に憤りや悲しみを感じている県民や国民は多い」と述べました。

そのうえで「県としては今後も政府に対し、対話によって解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く訴えるとともに日米両政府に普天間基地の1日も早い危険性の除去を求めていきたい」と述べました。

岸田首相「沖縄県の対応 注視したい」

岸田総理大臣は25日午前、東京 新宿区で記者団に対し「正式な発表があったとは承知しておらず、憶測いきたい」と述べました。

岸防衛相「精査したうえで方針を決めたい」

岸防衛大臣は、25日夜、防衛省で記者団に対し「まずは沖縄防衛局が、沖縄県側から不承認とされた理由についてしっかり精査していくことになる」と述べました。

また、記者団が「対抗措置について検討する考えはあるか」と質問したのに対し「まずは精査をしたうえで、われわれの方針を決めていきたい」と述べました。

政府 対抗措置を検討

普天間基地の移設計画をめぐっては、沖縄県が埋め立ての承認を撤回した際、防衛省が法律に基づいて不服を申し立てるなど法的措置に踏み切ったケースもあり、政府内には「不承認は想定済みで対抗措置をとらなければならない」といった指摘も出ています。

政府は、普天間基地の危険性を除去するとともにアメリカ軍の抑止力を維持するためには、辺野古への移設が唯一の解決策だとして、着実に移設計画を進めたい考えでこれまでの対応も踏まえて対抗措置の検討を急ぐことにしています。

公明 北側副代表「長引けば普天間基地がさらに存続する」

公明党の北側副代表は、記者会見で「街の真ん中にある普天間基地の危険性を除去する観点から、辺野古への移設は容認せざるをえない。沖縄県民の基地負担をいかに軽減するかは、さらに政府として検討を進めてもらいたい」と述べました。

そのうえで、沖縄県の玉城知事の方針について「長引けば、結果として普天間基地がさらに存続することになり、それはどうなんだろうかというのが私の思いだ」と指摘しました。

共産 志位委員長「不承認という判断を断固支持する」

共産党の志位委員長は、記者会見で「玉城知事の不承認という判断を断固支持するのが共産党の立場だ。辺野古移設計画は完全に破綻している。政府は不承認という判断を重く受け止め、設計変更の申請を取り下げるべきだ。さらに、辺野古新基地建設そのものを中止し、普天間基地を無条件で撤去するよう強く求めていきたい」と述べました。