衆議院解散とは
なぜ万歳? 紫のふくさ?

政治マガジン、詳しくわかるシリーズ。

今回は、「衆議院の解散」を解説します。

衆議院の解散は憲法で定められています。

▼内閣の助言と承認により、天皇の国事行為として行うとする7条と、▼衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合に、10日以内に衆議院を解散するか、内閣総辞職をしなければならないとする69条に規定されています。

7条による解散は、事実上、総理大臣が最も都合が良い時期を選んで決めることができることから、解散権は総理大臣の専権事項で「伝家の宝刀」とも言われています。

ここからは、解散が行われる1日を見ていきます。

政府は閣議を開き、総理大臣とすべての閣僚が解散決定の閣議書に署名し、衆議院を解散することを閣議決定します。

これを受けて、天皇陛下の御名・御璽(署名と押印)を得た解散詔書が作成され、衆議院本会議が開かれます。

ここでは、紫のふくさに包まれた解散詔書が、官房長官から事務総長を通して衆議院議長に伝達されます。

このことから永田町では「紫のふくさ」が解散を象徴するアイテムとなっています。

そして議長が「憲法7条により衆議院を解散する」と解散詔書を読み上げると、衆議院が解散されます。
同時に衆議院議員は、全員失職します。

この時慣例となっているのが、議員による「万歳三唱」です。
自分が議員としての職を失い、次の選挙で当選しなければ戻ってこられないのになぜ万歳をするのか?

選挙に向けて気合いを入れるためとも、天皇の国事行為に対してとも言われていますが、はっきりした理由はわかっていません。

2014年の解散の際には、伊吹文明議長が「衆議院を解散する」と読み上げたところで、万歳三唱が行われました。

その後、伊吹議長が「御名御璽」と日付、総理大臣の名前を読み上げ「以上、万歳はここでやってください」と発言したため、再び万歳三唱が行われたという異例の場面もありました。

衆議院本会議のあとには閣議が開かれ、衆議院選挙の公示と投票の日程が正式に決められます。

議員だった人たちや、政党幹部らはさっそく選挙区に入り、事実上の選挙戦に突入します。

一方、衆議院の解散が行われても、内閣は存続しているため、各閣僚は仕事を続けることになります。
衆議院選挙後に開かれる特別国会で総辞職すると閣僚としての地位を失います。

ただ、その後の総理大臣指名選挙(首班指名)で同じ総理大臣が選出されると、その回数に応じて「第2次内閣」「第3次内閣」と呼ばれ、閣僚も再任されることがあります。


解散は、そのときの政治情勢に応じて「バカヤロー解散」「郵政解散」などと名付けられることがあります。
与野党によって呼び方が異なることもあり、その違いに注目してみると面白いかも知れません。