菅政権は何をしてきたか?
就任からの1年【詳報】

菅総理大臣は、自民党総裁選挙に立候補しないことを表明し、9月末に総裁としての任期が満了するのに伴い、総理大臣を辞任することになります。
菅総理大臣の就任からの1年を振り返ります。

第99代の総理大臣に選出

菅総理大臣は去年9月、辞任した安倍総理大臣の後継を争う自民党総裁選挙で圧勝し、第99代の総理大臣に選出されました。

国民のために働き、スピード感を持って、実行に移すことを前面に打ち出した菅内閣。

内閣発足直後のNHKの世論調査では、支持率が62%と高い水準でスタートしました。

デジタル庁の発足

携帯電話料金の値下げや、行政手続きのデジタル化などに取り組み、9月1日には、デジタル庁を発足させました。

また、脱炭素社会の実現に向けて「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明しました。

バイデン大統領と会談

4月にアメリカを訪問。

バイデン大統領が、対面で会う初めての外国首脳として会談し、対中国政策などを協議したのに続き、6月には、イギリスでのG7サミット=主要7か国首脳会議に出席しました。

総務省接待問題

一方で、衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男などから総務省の幹部らが接待を受けていたことなどが相次いで発覚。

総務省の幹部らが処分される事態となりました。

新型コロナに終始対応追われる

新型コロナウイルスの感染拡大には歯止めがかからず、終始対応に追われました。

観光需要の喚起策「Go To トラベル」は、感染収束にめどがたたないため去年12月に、全国一斉の一時停止を余儀なくされました。

ことしに入ってからは、各地に緊急事態宣言などを出し、感染対策として、飲食店での酒やカラオケの提供停止や、時短営業などを進めました。

ワクチン接種に取り組む

ワクチン接種にも取り組み、総合調整役には河野規制改革担当大臣を起用。

政府によりますと、2回目の接種を終えた人は、8月末までに5850万人余りと、国内の全人口の46%に達しました。

繰り返す「緊急事態宣言」対象地域の拡大と期間延長

「緊急事態宣言」も対象地域の拡大や期間の延長が繰り返されています。

東京では、ことしに入ってから宣言などが出されていない日は、1か月足らずで、いわゆる「自粛疲れ」や「宣言慣れ」によって、対策の効果が薄れているといった指摘もあります。

1年延期された東京オリンピック・パラリンピックは、東京への緊急事態宣言を考慮し、ほとんどの会場は無観客となりました。

国政補選や地方選で厳しい戦い

選挙では厳しい戦いを強いられました。

4月に行われた衆参3つの選挙は、野党候補が勝利し、自民党は、候補者擁立を見送った選挙を含め全敗。

7月の東京都議会議員選挙では、自民党が第1党となったものの、公明党とあわせて目標としていた過半数には届かず、過去2番目に少ない33議席にとどまりました。

さらに8月下旬に、菅総理大臣のおひざ元で行われた横浜市長選挙では、みずからが支援した小此木・元国家公安委員長が立憲民主党が推薦した山中市長に大差でやぶれ、衝撃が広がりました。

下がり続ける内閣支持率

新型コロナウイルスの感染状況とほぼ連動して、内閣支持率も下がり続けました。

8月のNHKの世論調査では、菅内閣を「支持する」と答えた人は29%で、内閣発足以降最低を更新しました。

自民党総裁選で再選意欲も

そして自民党の総裁選挙。

菅総理大臣は、「総裁として時期が来れば出馬するのは当然のことだ」と繰り返し、再選への意欲を示していました。

閣僚や党幹部が菅総理大臣の再選支持を相次いで表明する一方で、中堅若手議員などからは、「菅総理大臣では衆議院選挙を戦えない」などの声もあがっていました。

こうした中先月下旬には、岸田前政務調査会長が、立候補を正式に表明しました。

これに対し菅総理大臣は、来週6日に、二階幹事長の交代など、党役員人事に踏み切ったうえで、総裁選挙に臨む考えを示していました。

就任からおよそ1年で退陣へ

しかし、菅総理大臣は3日、新型コロナウイルス対策に専念したいとして総裁選挙への立候補しないことを自民党の臨時役員会で表明しました。

菅総理大臣は、就任からおよそ1年で退陣することになりました。