基礎疾患ない40~50代重症化
症状進行速いケース相次ぐ

新型コロナウイルスの第5波では、入院患者の割合は、高齢者が減った一方で、基礎疾患がなく大きな病気にかかったこともない40代や50代といった世代が重症化し、症状の進行も速いケースが相次いでいます。

基礎疾患なく 若くても…

先週、埼玉医科大学総合医療センターでは、40代の女性が肺炎が悪化し、酸素投与では呼吸が保てず、人工呼吸器をつけなければならない状態になっていました。

女性は先月下旬に感染しましたが、基礎疾患もなく、大きな病気にかかったこともありませんでした。

年齢も若いことから自宅で療養していました。

しかし、血液中の酸素の値が下がり「重症」の手前で、酸素の投与が必要な「中等症2」の状態になり、入院を余儀なくされました。

入院後、投薬治療などが施されましたが、容体は改善せず、重症化し、人工呼吸器をつけることになったということです。

発症後わずか4日で重症化

会社勤めの62歳の男性は、先月下旬に発熱などの症状が出てから急速に容体が悪化し、発症後わずか4日で人工呼吸器をつけるまでに重症化しました。

治療にあたる医師によりますと、第3波や第4波では1週間から10日前後、発熱などが続いてから重症となるケースが多かったものの、第5波では症状の悪化が速いということです。

治療にあたった岡秀昭医師は「これまでは“おそらく大丈夫”と思っていた年齢やステータスの患者が悪化するケースが相次いでいて、どのような患者層がいつ重症化するのか、読めなくなってきた」と話していました。

幸い、男性は容体が回復してきたため、病棟内で医師が話を聞く方法で取材に応じてくれました。

男性は「人工呼吸器が外れた時は状況が理解できず『自分はどこにいるのだろう』という感覚でした。はじめは軽いせきから始まり、それから『ゴホン、ゴホン』と深くなり、やがて高熱が出てふらつくようになりました。自分はコロナ感染には程遠いと思っていましたが、かかってみるとあまりにも苦しかったです」と感染の怖さを訴えていました。

千葉 市原の病院 コロナ専用病床ほぼ満床に

新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて、千葉県市原市の病院では9日までの3連休中に入院患者が増え、新型コロナの専用病床はほぼ満床になりました。
市外からの入院患者が増える傾向にあるということで、病院の院長は「想定以上に患者が増えていて、今後一般診療にも影響が出るおそれがある」と話しています。

千葉県内では一日当たりの新規感染者の発表が今月、初めて1000人を超えるなど感染が急拡大しています。

市原市の千葉労災病院では、県からの要請をうけて今月、新型コロナの患者の専用病床を増やしましたが、9日までの3連休の間に新規の入院患者が一気に増え、10日の時点でほぼ満床になりました。

これまでは、市内や周辺自治体の患者の受け入れが中心でしたが、現在は感染者が特に多い県北西部の東葛地域などの患者が3分の2を占めているということです。

千葉労災病院の岡本美孝院長は「どんなに治療を頑張りたいと思っても、病院の人員には限界があり、今後、必要になっても入院できない状況になりつつあると危惧している。想定以上に患者が増え、今後、一般診療にも影響が出るおそれがあり、行政は現場のことを十分理解し対策を立てていくことが喫緊の課題だ」と話しています。

千葉市 搬送先見つからず市外へ搬送の事例増加

千葉市では、発熱など新型コロナへの感染が疑われる症状が出ている患者について、搬送先の病院が見つからず市外に搬送するケースが増えています。

千葉市消防本部によりますと、患者を市外の病院に搬送する割合は、おととしや去年の今頃は12%前後だったということですが9日は、20%を超え、5件に1件の割合で市外の病院に患者を運んだということです。

中には、県の東部や南部など離れた地域に6時間ほどかけて搬送するケースもあったということで、搬送先の病院が見つかりにくい状況が続いています。

県内の病院で、発熱などの患者に対応する看護師は「何十件も断られたうえでさらに重症化して医療機関に運ばれるという中で『命の選別』が起きているのではないかと肌で感じています。たぶん市民の方々は、自分が重症化したりコロナにかかった場合、入院できると思っていると思いますが、現在の状況でも、県内で受けられる状況はほとんどないと思います」と話していました。