北海道 “まん延防止措置“
適用を政府に要請

札幌市で、新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることから北海道は20日、政府に対し、再度、まん延防止等重点措置を適用するよう要請しました。

札幌市では1週間の新規感染者数が10万人あたり24.5人と、都道府県の感染状況を示す国のステージで、最も深刻な「ステージ4」の目安の10万人あたり25人に迫っています。

このため道は、20日夕方開いた対策本部会議で政府に対し、再度、まん延防止等重点措置を適用するよう要請することを決め、これを受けて、午後6時、政府に要請を行いました。

さらに道は会議で、重点措置の適用を待たず対策を強化する必要があるとして道独自に、4連休が始まる22日から来月22日までを期間として、全道で札幌市との不要不急の行き来を控えるよう要請するとともに、札幌市で不要不急の外出や移動を控えることや、公共施設の原則、休館などを要請することを決めました。

また、飲食店などに営業を午後9時まで、酒の提供は午後8時までとするよう求めている時短要請について、22日からは酒の提供は、同一グループの入店を原則4人以内とするなど一定の要件を満たした場合に可能とし、要件を満たさない店では提供を行わないよう強化したうえで来月22日まで続けることも決定しました。

道は、まん延防止等重点措置が適用されしだい、飲食店などへの時短要請を営業を午後8時まで、酒の提供は午後7時までに1時間前倒しするなど、新型コロナウイルス対策の基本的対処方針を踏まえ対策をさらに強化する方針です。

鈴木知事「国には速やかな検討を求めたい」

北海道の鈴木知事は、対策本部会議で道内の感染状況について「新規感染者数は前の週に比べて14日連続で増加しており、特に札幌市で急速に拡大し、全道の数を押し上げている。このまま感染拡大が続いた場合には、再び、全道に広がっていくおそれがある」と指摘しました。

そのうえで、政府にまん延防止等重点措置の適用を要請することについて「今月11日までのまん延防止等重点措置の終了から、あまり時間がたっていない中で、再び要請することは大変心苦しいが、今の北海道は大変厳しく、重要な局面に直面していると考え、要請を決断した。国には速やかな検討を求めたい」と述べました。

そして、鈴木知事は「警戒レベルを最大限に上げ、この難局に立ち向かわなければならない。札幌市民だけでなく、道民や事業者、そして北海道を訪れる人が全道一丸となって取り組み、人と人との接触を減らし、往来を控えるよう徹底してほしい」と述べ、協力を呼びかけました。

「早めの対応が必要だと判断」

鈴木知事は対策本部会議のあとの記者会見で「札幌市では1週間の新規感染者数が国のステージ4の水準に近づいているほか、病床使用率も国のステージ3の水準をすでに超えている。人と人との接触を徹底的に抑えていくべき局面にあり、感染性の高いデルタ株の広がりも考慮すれば早めの対応が必要だと判断した」と述べました。

そのうえで「先手で対策を講じていくべきで、全道に感染が広がり、道全体の指標がステージ3や4になってから重点措置を検討し、国として作業するというのであればそれはちょっと違うのではないか。特にデルタ株は感染性が高いとされており国には速やかに検討してほしい」と述べ、まん延防止等重点措置の速やかな適用を求めました。

政府 「直ちに適用する状況にはない」

加藤官房長官は20日の記者会見で、感染状況などを注視し専門家の意見も聴きながら自治体と連携して対応していく考えを示しました。

政府は北海道について、新規感染者は増えているものの病床の使用率などから直ちに重点措置を適用する状況にはないとして、道と連携して飲食店での感染対策の徹底などを図ることにしています。

また、重点措置が適用されている埼玉、千葉、神奈川と大阪については引き続き対策を徹底するとともに、病床の状況などを注視しながら機動的に対応する方針です。

一方、全国の感染状況について、政府内には新規感染者に占める高齢者の割合が低下し、重症者の数はほぼ横ばいで推移していることからワクチン接種の効果が表れ始めているという見方もあり、引き続き着実な接種の実施に全力を挙げることにしています。