来年度予算案基本方針
脱炭素など新たな成長推進枠

各省庁が来年度予算案の編成に向けて予算を要求する際の基本方針が7日の閣議で了解されました。政策によって増減できる「裁量的経費」は今年度より10%減らす一方、デジタル化の加速や脱炭素など、成長戦略の実現に向けては「新たな成長推進枠」を設け、メリハリを付けた予算要求を求めています。

閣議で了解された来年度・令和4年度予算案の予算要求の基本方針では、年金や医療など社会保障に関係する経費は、今年度の予算額に高齢化などに伴って増加する6600億円を加えた範囲内に抑えるよう求めます。

また、「裁量的経費」と呼ばれる政策によって増減できる15兆円程度の経費については今年度の当初予算より10%減らすよう求めます。

その一方で、脱炭素などのグリーン社会や、デジタル化の加速など、成長戦略の実現に向けた政策には「新たな成長推進枠」という特別枠を設けます。

裁量的経費の削減額の3倍にあたる4.4兆円規模で要求を認め、各省庁に対しメリハリを付けた予算要求を求める方針です。

また、去年は別途要望を認めていた新型コロナウイルスへの対応については、今後の感染状況に応じて適切に要求するよう求めています。

各省庁はこの基本方針に基づいて8月末までに予算を要求します。

ただ、衆議院選挙を控え、今後歳出圧力が強まることも予想される中、むだを省いた予算編成ができるかどうかが、これまで以上に問われることになります。

麻生副総理・財務相「予算を大胆に重点化したい」

麻生副総理兼財務大臣は記者会見で「グリーンやデジタル、地方の活性化、子ども子育てといった新たな成長の原動力になるものに予算を大胆に重点化したい。経済再生と財政健全化を進めていく予算編成を改めて行っていく」と述べました。

また、最大の支出項目である社会保障に関係する経費については「給付のかなりの部分は赤字公債の発行という形で将来世代の負担によりかかっている。団塊の世代の人たちが後期高齢者に入ってくる中で、支出を抑えていかなければそのほかの支出は賄えないと思っている」と述べ、予算編成にメリハリを付けて歳出改革を進めていく考えを強調しました。