岡山のハンセン病療養所
1800人超の遺体解剖記録

岡山県にある国立ハンセン病療養所の「長島愛生園」で1800人以上の遺体を解剖した記録が残されていることがわかりました。
これまでも全国にある国立ハンセン病療養所で入所者の遺体が解剖されていた記録が確認されていて、専門家は「解剖の具体的な目的など、国が主導して全国の療養所で検証を進める必要がある」と指摘しています。

新たに解剖の事実が明らかになったのは、岡山県瀬戸内市にある国立ハンセン病療養所の長島愛生園です。

園には、入所者の遺体解剖の結果を記した「解剖録」合わせて32冊が残されていて、園が設立された、よくとしの昭和6年から昭和31年までの25年間に、1834人の入所者の遺体を解剖していたことが明らかになったということです。

このうち昭和19年までは、亡くなった入所者のうち97%以上が解剖されていたほか、解剖への同意については、入所者が死亡する1週間ほど前に本人以外の別の入所者から取られたケースも確認されたということです。

長島愛生園の山本典良園長はNHKの取材に対し「非常に詳細に解剖の記録が残されていたことを考えると、医学の発展に役立て、入所者たちを救いたいという考えがあったのではないか」とする一方、同意の取り方については「当時の規則が定かではない中、適切な方法だったのか疑問が残る」と話していました。

国立ハンセン病療養所での遺体の解剖をめぐっては、熊本県の療養所で少なくとも389人以上を対象に行われていたことが去年、療養所の調査で分かり、その後、鹿児島県や青森県でも合わせて1193人以上が解剖されていたことがNHKの取材で明らかになりました。

ハンセン病の問題に詳しい九州大学の内田博文名誉教授は「解剖が常態化され療養所という特異な環境で事実上強制的に解剖が行われていた可能性がうかがえる。解剖の具体的な目的など国が主導して全国の療養所で調査・検証を進める必要がある」と指摘しています。