おととしの台風19号で浸水
住民ら70人余が川崎市提訴

おととしの台風19号の際、川崎市が多摩川に通じる排水管の水門を閉じなかったことで大規模な浸水被害を招いたなどとして、被害が起きたエリアの住民など70人余りが、市に賠償を求める訴えを起こしました。

横浜地方裁判所川崎支部に訴えを起こしたのは、川崎市中原区と高津区の住民など72人です。

多摩川沿いにあるこれらの地域では、おととし10月の台風19号の際、雨水などを流す排水管から川の水が逆流し、広い範囲が浸水しました。

訴えによりますと、このとき市は、多摩川の水位が高くなっていることを認識し、周辺への浸水を予見することができたのに、排水管の水門を閉じず、被害の拡大を招いたなどとしています。

そのうえで、慰謝料と住宅の修繕費用などとして合わせて2億6900万円余りの賠償を求めています。

訴えを起こした住民らの代表の川崎晶子さんは「多摩川は決壊しなかったのに街には水があふれ、多くの人の暮らしがめちゃくちゃになりました。二度と同じことが起きないよう市は謝り、償ってもらいたい」と話していました。

この浸水被害をめぐって、川崎市は去年「水門の操作は手順どおり行われていた」とする検証結果をまとめていて、訴えについて「訴状を確認したうえで、裁判で丁寧に説明してまいります」とコメントしています。