米軍駐留経費負担 今年度と
同水準2000億円余で合意

在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担について、日米両政府は、新年度は暫定的に今年度予算と同じ水準の2000億円余りとし、再来年度以降の負担額は継続して協議することで合意しました。

在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」は、日本政府がアメリカ軍基地で働く従業員の給与や光熱費の一部などを負担しているものです。

ほぼ5年ごとに結んでいる「特別協定」が来月、期限となることから、去年11月から日米の実務者の交渉が続いていました。

その結果、期限が迫っていることを踏まえ、新年度の負担額は今年度予算と同じ水準の2017億円とし、再来年度・2022年度以降については、継続して協議することで合意しました。

これを受けて日本政府は、現行の「特別協定」を1年延長するための議定書に署名したうえで、来月中に国会の承認を得たい考えです。

日米両政府は、再来年度以降の日本側負担をめぐる交渉を年内にまとめる方針で、東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、サイバーや宇宙など新たな領域での協力の在り方にも議論が及ぶものとみられます。

今回の交渉をめぐっては、トランプ前政権が、大幅な増額を求めて折り合いがつかず、バイデン政権に引き継がれていました。

茂木外相「早期の合意は日米同盟の信頼性高める」

茂木外務大臣は、記者団に対し「在日アメリカ軍は、わが国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在であり、バイデン政権発足後の早いタイミングで必要な合意に至ることができたことは、日米同盟の信頼性を高め、それを国際社会に発信するものだと高く評価している。強固な日米同盟を一層強化していくために、引き続き、アメリカと緊密に連携していく」と述べました。

岸防衛相「必要な合意に至ることできた」

岸防衛大臣は、記者団に対し「日米同盟の安定的な運営を確保するうえで、駐留経費は重要な役割を果たしている。このような共通認識のもと、新型コロナウイルスの感染拡大やアメリカの政権交代で時間が制約される中でも必要な合意に至ることができた。わが国を取り巻く安全保障環境は厳しく、再来年度以降の負担額についてもしっかり交渉していきたい」と述べました。

米国務省“義務を果たすためにはコストがかかる”

日米両政府の合意を受け、アメリカ国務省の報道担当者は17日、声明を発表しました。

声明は「われわれは日本政府の同盟への貢献に感謝している」とする一方で「アメリカは条約の義務を果たすために多くの軍事的資材と能力を投入しており、義務を果たすためにはコストがかかる」とも指摘しています。

そのうえで「双方が防衛にさらに多く投資することで、必要な能力と即応態勢は保持され、日米同盟を変化する安全保障環境に速やかに適応させることができるようになる」として、今後の両政府の交渉で日本側にさらなる負担や安全保障面での貢献を求める構えも示しています。

また、アメリカ国防総省のカービー報道官は17日の記者会見で「アメリカは日本政府の支援に非常に感謝しており、日米関係や、安全保障上の義務をより深化させ、強化させていきたい」と述べました。