GPS悪用ストーカー被害
法改正含め検討へ 警察庁

GPS機器を悪用して相手につきまとうなどの行為が相次ぐ一方、現在のストーカー規制法ではGPSについての規定がないことから、警察庁は法改正を含めて検討を行うことになりました。

GPS機器が普及する一方、無断で相手の車などに取り付けて行動を把握するといった悪質な行為が相次いでいて、警察などへの相談も多くなっています。

しかし、現在のストーカー規制法ではGPSを使った行為について規定がなく、最高裁判所はことし7月、GPS機器を相手の車に無断で取り付けて離れた場所で位置情報を把握したことについて、ストーカー規制法で禁止されている「見張り」にはあたらないという判断を示しました。

一方、ストーカー被害の実態に法律が追いついていないという声も多く、警察庁は有識者による会議を設置し、法改正を含めて検討を進めることになりました。

弁護士など法律の専門家のほか、ストーカー規制法ができるきっかけとなった、1999年に埼玉県桶川市で起きた殺人事件の遺族も議論に参加するということです。

警察庁は来年1月末までに具体的な結論を出すことにしています。

ストーカー被害の相談 7年連続2万件超

警察庁によりますと、去年1年間に全国の警察に寄せられたストーカー被害の相談は2万912件に上り、7年連続で2万件を超えています。

かつてのように家の近くでつきまとうといった行為だけではなく、メールやSNSで執ようにメッセージを送るなど、新たな手口が増えています。

GPS機器を悪用するケースも相次いでいて、家電量販店やインターネットなどで簡単に購入できるようになったことが背景にあるとみられています。

ストーカーの被害者の支援などにあたっているNPO法人「女性・人権支援センターステップ」の栗原加代美理事長は、「GPS機器で位置情報が把握されるのは、近くで見張られているのと同じ恐怖だ。悪質になると、相手の居場所を突き止めて危害を加えるなど、最悪の結果になる可能性もある」と指摘しています。

そのうえで、「GPS機器が普及しストーカーの手口が変化しているのに、法律が追いついていない。法改正が必要だ」と訴えています。