裁選 党員投票実施せず
両院議員総会で選出

安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙について、自民党の総務会は、党員投票は実施せず、両院議員総会を開いて新しい総裁を選ぶことを決めました。都道府県連の代表の投票先を決める際には、予備選挙などを行うよう各都道府県連に促すことになりました。

安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙の方法などを議論する、自民党の総務会は、午前11時すぎに党本部9階の会議室で始まり、およそ2時間後の午後1時前に終わりました。

この中で、二階幹事長をはじめ党執行部は「新型コロナウイルスへの対応もあり、早急に新たな体制を確立して政策を前に進める必要がある」として、党員投票は実施せず、両院議員総会を開いて、国会議員と都道府県連の代表による投票で、新しい総裁を選ぶことを提案しました。

これに対し、出席者からは「一刻も早く新しい総裁を選ぶべきで、党員投票を実施しないのもやむをえない」などと、賛成する意見が出された一方、「開かれた方法で総裁選挙を行うため、広く党員の意見を反映させるべきだ」などと、党員投票を求める意見も出されました。

これを受けて、執行部側は、都道府県連の代表の投票先を決める際には、予備選挙などを行い党員の意向を反映するよう、党として各都道府県連に促す案を示し、最終的には執行部の提案どおり決定しました。

これにより自民党総裁選挙は、
▽「国会議員票」394票と、
▽47の都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票の、
合わせて535票で争われることになりました。

一方、総裁選挙の日程については、執行部が検討している、8日告示、14日投開票の案が、2日に開かれる総裁選挙管理委員会などに諮られたうえで、決定される見通しです。

鈴木総務会長「任期途中の時は両院議員総会で選んでいる」

自民党の鈴木総務会長は、記者会見で「党員投票を実施する形で総裁選挙をやるとなると、準備におよそ2か月かかるということもあり、次の政権が2か月間決まらないという事態は、安倍総理大臣にも負担をかけるし、いいことではない」と指摘しました。

また、鈴木氏は「今までの総裁選挙では、任期満了で行われた時には党員投票を実施する形で行ってきたが、今回のように任期途中で総裁が辞任した時は、その形でやったことはなく、常に両院議員総会で選んでいる。総務会ではそうした説明をして納得が得られたと思う」と述べました。

石原元幹事長「党員の意見もくみ上げ 総裁誕生へ」

石原元幹事長は記者団に対し「両院議員総会での総裁選挙だが、若手の意見も踏まえ、各都道府県連で予備選挙のようなものを行うよう党から要請し、しっかり党員の意見もくみ上げて総裁を誕生させるということに決まった。緊急事態でも『党員の声はしっかり聞いてるんだ』ということを示さなければ、若い人たちの負託にも応えられない」と述べました。

小泉環境相「多様な声あることが改めて証明」

小泉環境大臣は党の青年局長を務めたことがあり、オブザーバーとして総務会に出席しました。

総務会のあと記者団に対し「残念ながら党員投票はやらないという結論になったが、多くの国会議員や全国の地方組織の人たちが『党員投票をやるべきだ』と声を上げたことにより、自民党には多様な声があることが改めて証明された。選ばれた総裁が誰になろうと、より多様な声が反映されるような自民党を作っていくスタートにしたい」と述べました。

村上元行政改革相「拙速に決めるべきでなかった」

村上元行政改革担当大臣は記者団に対し「民の声は神の声であり、有権者や党員の意思を尊重することが大事だ。拙速に決めるべきではなかった。次の衆議院選挙は簡単な選挙ではなく、そういう時だからこそ、声をくみ取ることが必要だった」と述べました。

片山前地方創生相「両院議員総会しか方法がない」

片山前地方創生担当大臣は、記者団に対し「この状況で迅速に総裁を選ぶということになると、両院議員総会しか方法がない。このような事態なので、きちっと決めて、自民党として前に進まなければならない」と述べました。

小林青年局長「正直に言って負けた 申し訳ない」

小林史明青年局長は、記者団に対し「正直に言って負けた。全国の皆さんの声をいただいたが、本当に申し訳ない。予備選挙を行うかどうかは、都道府県連の判断によるが、全国の青年局の仲間とともに、すべての都道府県で予備選挙などが行われる状況を作ることができるよう、目指していきたい」と述べました。