【ポイント解説】岸田首相NATO参加の狙い
狙いと成果は?
Q1)去年に続き、岸田総理大臣の2回目のNATO参加。狙いと成果は?
A1)日本の念頭にあるのは中国の存在です。中国は、ロシアと連携を深める動きを見せ、みずからも覇権主義的な行動を強めています。ある政府関係者は「ロシアによるウクライナ侵攻は決してひとごとではなく、あすの東アジアかもしれない」と危機感をあらわにしていました。日本としては、ウクライナ情勢で貢献することで、NATO諸国のインド太平洋地域への関与を促し、抑止力につなげたい考えです。その意味で日本政府は今回、NATOとの間で安全保障面の協力を前進させる文書をまとめられたのは成果だとしています。
日韓の首脳が会談。どんな結果に?
Q2)処理水の放出について韓国では懸念の声もある中、日韓の首脳が会談。どんな結果に?
A2)一定の前進があったと言えます。会談で岸田総理は処理水放出の計画を説明し、理解を求めました。韓国国内では野党が反発していますが、ユン大統領は「国際的な安全基準に合致している」としたIAEAの報告書を尊重する意向を示しました。日本政府の関係者からは「今回の会談でユン大統領の理解を得て処理水放出への環境を整える一歩となった」という声が聞かれました。両首脳は、さきだって開かれたオーストラリアとニュージーランドを交えた「AP4」の会談前に、近い距離で言葉を交わすなど親密ぶりも見せていましたし、政府関係者は「首脳会談自体も和やかだった」と話していました。岸田総理としてはユン大統領との個人的な信頼関係も背景に、放出計画への韓国側の理解を広げながら、反発している中国にも説明を尽くし、具体的な放出時期を判断したい考えです。
- 政治部記者
- 阿部 有起
- 2015年入局。鹿児島局、福岡局を経て2021年から政治部。今夏から野党クラブ所属。趣味はツーリング。
- 経済部記者
- 名越 大耕
- 2017年入局。福岡局を経て経済部。デジタル庁と情報通信業界などを担当。
- 社会部記者
- 能州 さやか
- 2011年に入局。秋田局と新潟局を経て2017年から社会部。
- ネットワーク報道部記者
- 柳澤 あゆみ
- 2008年入局。秋田局、石巻報道室、国際部、カイロ支局などを経て2021年からネットワーク報道部。
- 札幌局記者
- 三藤 紫乃
- 2017年入局。札幌局が初任地。帯広局を経て再び札幌へ。現在、札幌市政を担当。