西村経産相 “理解なしに処分せず”順守 原発処理水放出で

福島第一原発にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針をめぐり、西村経済産業大臣は、8年前に経済産業省が福島県漁連に示した「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とする方針を順守し、丁寧に説明を重ねていく考えを示しました。

政府は、福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、基準を下回る濃度に薄めてことし夏ごろから海への放出を始める方針で、具体的な放出時期の検討に入っています。

処理水をめぐって経済産業省は8年前、「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とする方針を福島県漁連に示していて、これについて西村経済産業大臣はきょう閣議のあとの会見で、「関係者がどういう範囲なのかなど一律に判断するのは難しいとは思っているが、順守していきたい」と述べました。

さらに、11日午後、福島県を訪問し、福島県漁連の拡大理事会に出席するとしたうえで、「漁連のみなさんに対して安全性を評価したIAEA=国際原子力機関の包括報告書の内容も含めて丁寧にわかりやすい説明を重ね、しっかり信頼関係を構築していければと思う」と述べ、理解を求めていく考えを示しました。

松野官房長官 “漁業者と意思疎通繰り返し信頼関係深める”

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で、福島第一原発にたまる処理水の海への放出について、何をもって漁業者の理解を得られたと判断するか問われ「何か特定の指標によって理解の度合いを判断することは難しいと考えているが、意思疎通を繰り返しさせてもらい、信頼関係を深めていくことが重要と考えている。引き続き懸念や要望にしっかり応えていけるよう取り組んでいく」と述べました。