2度目の辞職勧告も村議会議長は辞職しない考え示す 千葉

公用車の中で職員をたたいてけがをさせたとして罰金刑を受け、議会から辞職勧告を受けた千葉県長生村の議長が6月20日、議会に出席し、辞職しない考えを示しました。

議会は、女性職員へのセクハラ行為もあったなどとして2度目の辞職勧告という異例の決議をしました。

長生村議会の東間永次議長はことし4月、私的な歓送迎会に出席して公用車で帰宅する途中、運転していた女性職員をたたき軽いけがをさせたとして罰金20万円の略式命令を受け、5月には、議会から議員の辞職勧告を受けました。

議長は事件後、体調不良を理由に本会議を欠席していましたが、6月20日、議会の特別委員会に出席し、「ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

そして、当時、酔っていたとしたうえで「検事から『酒をやめなさい』と言われたが、『議員を辞めなさい』とは言われなかった。後援会や支援者から『信用を得るため議員を続けたらどうか』と言われ、助けてくれる人がいるんだなと思った」と述べ、議員を辞職しない考えを明らかにしました。

また、事件のあと、たたいた職員に1万円の商品券を手渡したことを明らかにし、「運転してもらい、お世話になりましたという意図で渡した。暴力を振るったから渡したわけではない」と説明しました。

議員が辞職しない考えを明らかにしたことを受けて、議会は20日午後、本会議を開き、女性職員に対するパワハラ・セクハラ行為もあったなどとして、議長に対し異例の2度目となる辞職勧告案を賛成多数で決議しました。

決議のあと、東間議長は記者団に対し「身にしみる思いで、先ほどより弱気になっています。ただ、やり残したことがあるので支援者と相談して対応を決めたい」と述べました。

村議会では公用車に同乗していた木嶋晴一副議長に対しても辞職勧告が決議されていますが、副議長は辞職しない考えを示しています。

女性職員との通話音声 議長がデータのコピーを破壊

20日の特別委員会では、事件直後に録音されていた東間議長と女性職員の通話の音声コピーのデータを議長が受け取り、破壊していたことも明らかになりました。

村によりますと、音声データは被害にあった女性職員が事件直後の議長との電話を録音したもので、データの存在を知った議長から「確認したい」などと依頼を受けた議会事務局長が、職員の了解を取ったうえで、コピーデータが入ったUSBメモリーを手渡していたということです。

特別委員会のあと、議長は記者団に対し、音声の内容については答えられないとしたうえで、「お酒に飲み込まれてだらしない状態のものだった。なぜ、仲間で歓送迎会を開いたのに録音をするんだろうという気持ちがあって壊してしまった」と述べ、USBメモリーを壊したことを明らかにしました。

また、公用車に取り付けられていたドライブレコーダーの当日の記録の一部も無くなっていたことも分かりました。

これについて、議長は「編集したり、誰かに編集するよう指示したりしたことは一切ありません」と話しています。

“議長職は支援者などと協議して決めたい”

委員会の後、東間議長は記者団の取材に応じました。この中で、議員を辞職しない意向を改めて示したうえで、議長職については「これから支援者などと協議して決めたい」と述べました。

事件のあとに職員に商品券を手渡したことについては「事件翌日の土曜日に、議会事務局長を通して女性職員を呼んだところ、あまりいい感じがしなかったので、何かご迷惑をかけたなと思った。“運転してくれてありがとう。酔っ払っていたのでいろいろすみません”という気持ちで週明けに商品券を渡した」と述べました。

公用車の私的利用については「公用車だと気付いて『まずい』と伝えたが、議会事務局長が『職員との歓送迎会なので大丈夫だ』と答えたので、そのまま乗車した。まずいという認識はあった」と陳謝しました。

公用車で議長と副議長の2人の自宅に迎えに行った議会事務局長は、私的な利用にあたると知りながら公用車を出すよう部下に指示したなどとして、戒告の懲戒処分を受けています。