防災白書 “SNSなどによるデマへの対応が必要”と指摘

政府の防災白書が16日公表されました。10万人以上が犠牲となった関東大震災から100年となるのにあわせて当時の被害を検証するとともに、NPOやボランティアも参加した支援体制の構築やデジタル技術を活用した情報発信の強化、SNSなどによるデマへの対応が必要だと指摘しています。

ことしの防災白書では9月で発生から100年となる関東大震災を大きく取り上げています。

1923年9月1日に発生した神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9の大地震により、関東を中心に建物の倒壊や津波、土砂災害などが相次ぎ、東京や横浜を中心に大規模な火災が起きるなど10万人以上が犠牲となりました。

白書では関東大震災は人的被害に加え経済的な被害も大きく、当時のGDPのおよそ37%に達していて、東日本大震災のおよそ3%と比べるとその甚大な被害の実相が理解できるとしています。

また当時との社会的な環境の変化についても触れ、東京と神奈川県、千葉県、埼玉県の人口は1920年のおよそ768万人から2020年には5倍近くの3691万人に達したほか、高齢化も大きく進み、災害時には高齢者の心身のケアや避難生活の環境の改善がいっそうの課題だと指摘しています。

さらに、1都3県の外国人の人口は1920年と比べて当時の57倍にあたる約114万人にのぼっていて、多様な言語での発信が必要だとしています。

関東大震災では警視庁など行政機関の庁舎が焼失したことで初動の対応に遅れが生じるなか、住民どうしの助け合いで救われた命が多かったことも紹介し、想定される首都直下地震ではボランティア活動の果たす役割の大きさがわかるとしています。

このほか、デジタル技術を活用した情報発信の強化やSNSなどによるデマへの対応が必要だと指摘しています。

谷防災担当大臣は16日の閣議後の記者会見で「関東大震災から100年の契機に国民一人一人がそれぞれ防災について考え取り組みを進めてもらいたい。政府としては過去の災害の経験や教訓をいかしながら、社会情勢の変化に対応することで対策に万全を期していきたい」と話しています。