参議院選挙 鳥取島根選挙区 直線距離で300キロ 合区の戦い
7月10日に行われる参議院選挙。
鳥取島根選挙区は「合区」。つまり2つの県が1つの選挙区になっています。
「1票の格差」を是正するために鳥取と島根、徳島と高知で6年前から導入されていて今回で3回目になります。
合区の結果、東西の直線距離は東京ー名古屋間に匹敵する300キロに。
この広い選挙区での選挙戦に、候補者、そして、有権者は、どう向き合っているのでしょうか。
合区、どう思いますか
2つの県を1つの選挙区にする合区について、街の人はどのように感じているのでしょうか。
(20代女性)
「1票の格差減らすためには必要なんじゃないかなと」
(20代女性)
「それぞれの地域でいろいろ情勢とか違うと思うので、分かれたほうがいいんじゃないかなとは思います」
(10代男性)
「山陰で同じ地区なので力を合わせてやって行ければ良いかなと思っています。賛成です」
(70代女性)
「できれば別にしていただいた方が立候補者も身近に感じるんじゃないか」
5人が立候補
鳥取島根選挙区に立候補しているのは
届け出順に
▽NHK党の新人の黒瀬信明さん(37)。
▽共産党の新人の福住英行さん(46)。
▽立憲民主党の新人の村上泰二朗さん(34)。
▽参政党の新人の前田敬孝さん(60)。
▽自民党の現職で公明党が推薦する青木一彦さん(61)の5人です。
ネット中心に活動
NHK党の新人、黒瀬信明さん。
演説の様子を動画サイトに投稿するなど、インターネットを中心に活動しています。
NHKのスクランブル化の実現や放送法の改正などを訴えています。
(黒瀬さん)
「島根県、鳥取県のNHKの受信料を不払いされている方や、受信料を払いたくない方をお守りするために、今回立候補させていただきました」
原発はいらない
共産党の新人、福住英行さん。
原発ゼロを訴えています。島根原発は、全国で唯一、県庁所在地にある原発です。
そして、重大事故が発生した場合、避難が必要な30キロ圏は鳥取県にまでまたがっています。
(福住さん)
「いつ災害というのは襲ってくるのかわかりません。危険な原発は動かすべきではないということを大いに訴えていきたい」
福住さんは、避難計画の実効性が確保されていないなどとして再稼働に反対していて、県を越えた共通の問題だと強調しています。選挙期間中も地元・鳥取県側のデモに参加しました。
(地元の元市議)
「常に原発をなくす、この運動に関わってきた人です。原発ゼロの願いを福住英行さんに託してください」
さらに、幅広く支持を広げるため、暮らしを守るための経済対策なども訴えています。
(福住さん)
「国民の暮らしを支え、働く人の賃金や所得を増やして経済を成長させる。優しく強い経済への転換を目指してがんばります」
子育て支援 充実を
立憲民主党の新人、村上泰二朗さん。
1歳と5歳の子どもの父親で、子育てや教育環境の充実などを訴えています。
(村上さん)
「子育て、教育を無償化していく。子どもが産み育てやすい環境を作っていけば、子どもが増えていき、人口減少を解消していくことができる」
運動の期間中には鳥取砂丘など鳥取県東部で支援を呼びかけた日もあった一方で、その2日後には200キロあまり離れた島根県大田市で選挙カーを走らせました。
鳥取県庁を退職してまもなくの立候補で、訴えを届けようと奔走しています。
(村上さん)
「どうしても回れないところが出てくる、思いを伝えられない方が出てくる、思いを聞けない方が出てくるというのが、やっぱり一番気になるところです」
足がかりのない島根県では、元衆議院議員の亀井亜紀子さんが支援しました。
(亀井さん)
「島根県、鳥取県でなかなか野党から立候補する人がいない。村上さんのような優秀な青年が手を挙げてくれたんです。皆さまの手で国会に送り出してください」
(村上さん)
「子育て、教育施策をやって、人口減少を克服する。これが山陰の生きる道だと思います」。
地域の人材育成を
参政党の新人の前田敬孝さん。
地域の人材育成のため農業高校と水産高校の教育に力を入れることなどを訴えています。
(前田さん)
「食は運命を左右する。一番身近なものから見直すことにより、日本の政治が変わっていくと確信しております」
地方創生の実現を
自民党の現職、青木一彦さん。
人口減少などを解決し、地方創生を実現すると訴えています。
(青木さん)
「人がいなければ地域を守れません。そのことをしっかりと先頭に立って、これからも訴えていきたい」
地元・島根県内では各地で地方議員や国会議員などからの応援を受けます。
一方、出身地ではない鳥取県でも組織戦を展開します。
指揮するのは自民党鳥取県連の会長を務める石破元幹事長です。
鳥取県での得票率を「全国トップクラスにする」とげきを飛ばします。
(石破さん)
「勝ちさえすれば、それでいい選挙ではありません。どれだけ大勢の人たちが青木さんといっしょに日本を変えようと、その思いを持っていただけるか、それを票にしてわれわれは示したいと思っております」
(青木さん)
「津々浦々に大きな地方創生の大輪を咲かせていく。大事な大事な1議席です。石にかじりついてでも必勝を期して全身で頑張っていきます」
合区ならではの課題も
3回目となる合区の選挙ですが、「政策を訴える候補者の顔が見えにくい」という課題も指摘されています。
有権者の中からは「どちらの県出身の候補かを重視して投票する」という声も聞かれました。
「やっぱり地元の人の方が安心できるというか、地元に貢献してくださるのかなと思うので気にする」
(30代男性)
「地元の代表という感じで選んでいますので」
(40代女性)
「最終的に選ぶ時にどっちかなってなったら、それは地元の人と思います」
広大な選挙区で有権者の声をどうやってくみ取っていくのか、それぞれの陣営の模索が続いています。