Q37 空き家ごと売るか、更地にして売るか、どちらが売れやすい?
クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「空き家ごと売るか、更地にして売るか、どちらが売れやすいか」というお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)
相談内容
2019年に母が老人ホームに入居しました。その後、空き家になりました。処分できるものは自治体のクリーンセンターに持っていったり民間で買い取ってもらったりしましたが、それでも家具等が残りました。庭の雑草や木々は隣に迷惑となるので、1年に1回は手入れをしてもらいました。火災や防犯の面で、水道以外のインフラは止めました。空き家になったときから、知り合いの不動産屋に売却を頼んでいますが、早々に売れるものではなく今に至っています。いつかは売れることを願っています。現在は、更地にしたほうが売れやすいのではと思ってきています。
(和歌山県/女性/69歳)
回答
“ 更地のほうが売れやすい傾向はありますが、デメリットも存在します ”
解説
(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)
「空き家を売りに出してもなかなか売れない」というのは当センターにもよく寄せられる相談です。すべての不動産は一点もので、同じ商品は2つとありません。そのため、更地にしたほうが売れやすいかどうかは「立地や地域など、その不動産の特性による」というのが正しい回答になります。ただ、これでは参考にならないと思いますので、あくまで一般論にはなりますがお答えします。
今建っている建物の状態にもよりますが、基本的には更地にしたほうが売れやすい傾向にあります。新築を検討している購入者からすると、土地の広さをはっきり確認できて解体費を出す必要もなく、すぐに建築工事をスタートすることができるからです。
ただし、更地にする場合は、そのエリアで新築需要があるかどうかをしっかりリサーチする必要がありますし、解体費用も売却前に支払う必要があります。さらに、建物を解体して空き地にすると、翌年から固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
実は、居住用の住宅が建てられている土地は「小規模住宅用地の特例」という税金優遇制度が適用されているのです。恩恵を受けている実感はないかもしれませんが、私たちが毎年請求されている固定資産税・都市計画税は6分の1に減額された税額なのです。建物がなくなると優遇制度の対象外になってしまい、翌年以降の維持コストが重くなるというデメリットがあります。
このように、更地で売却するにもメリット・デメリットがあります。今ある住宅を活かして築古住宅として販売するのか、解体して更地を販売するのかは大きな決断になりますので、なかなか即断できないかもしれません。
今すぐにできることとして、現在の売り出し金額が適正かどうか、毎月どの程度の問い合わせが来ているか、更地にした際の想定売却期間など、販売を依頼している不動産会社の担当者と打ち合わせてみてはいかがでしょうか。
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