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Q34 「空き家売却で収入があると年金が止まる」って本当ですか

クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「親が空き家を所有しており、処分してほしいが『売ると年金が支給されなくなる』といって先送りにしている」というお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)

相談内容

親が相続により空家を所有しており、住む人もいないので売りたいのだが、「売ると年金(障害年金と老齢年金)が支給されなくなる」といって先送りにしている。本当に年金は支給されなくなるのか。そうするといずれは私と妹が相続することになる。今のうちに私か妹に名義変更することは可能か。貸すことも可能だが、相談先もよくわからず、どこから始めていいのかわからず困っている。

(女性/42歳)

回答

“ 不動産売却で利益が出ても年金が支給されなくなることは基本的にはありません ”

解説

(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)

年金などの制度は複雑でわかりにくいですよね。不安になるお気持ちはたいへんよくわかります。
先に結論からお伝えすると、不動産を売ったことが原因で年金が支給されなくなるようなことはありませんので、ご安心いただければと思います。

老齢年金は、基本的には「保険料を支払っていた期間で支給額が決まる」制度です。年金受給中に不動産を売ったとしても、支給に影響が出るようなことはありません。

障害年金についても、基本的には同じです。ただし、「20歳になる以前の病気や怪我で障害が残ってしまったケース」などの特定条件に該当すると、一定の所得により年金支給が制限される制度が存在しますので、この点には注意が必要です。障害年金の支給制限の詳細については細かく取り決められていますので、ご不安であれば最寄りの年金事務所に確認されるのが確実かと思います。
日本の年金制度には、年金をもらいながら働いた場合、お給料と年金の合計が一定額を超えると年金の支給が制限される制度(在職老齢年金)があります。おそらくこの制度と勘違いされてご不安になられているのかと思います。

しかし、繰り返しになりますが、基本的には不動産の売却でいくら利益が出たとしても、それが理由で年金が支給されなくなることはありません。

ちなみに相続前の名義変更については、現在の名義人(親御さん)と合意があれば、変更自体は可能です。ただし、この場合は不動産の贈与ということになるため、贈与税の問題が出てきます。贈与税は相続税と比較して税率がかなり高いので注意が必要です。詳しくは最寄りの税務署に確認されるのが良いかと思います。

賃貸を含めた空き家の相談窓口については、過去の質問をご参照ください。

参考:Q4 行政にサポートしてほしい・・・空き家問題はどこに相談すれば?

上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事)
2013年 NPO法人設立。全国で空き家などの適正管理や利活用に取り組む。
東村山市空家等対策協議会副会長など、複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員も務める。
『あなたの空き家問題(日本経済新聞出版社)』著者。
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