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Q31 解体したいが・・・親の説得とお金の問題 いったいどうすれば?

クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「“文化住宅”の空き家を解体したいが、解体費用の高さと親の説得に悩んでいる」というお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)

相談内容

父が亡くなり、88歳の母が一人暮らし中です。文化住宅の空き家が2棟もあり、火災や台風が怖いので解体したいけど650万円以上かかると言われ、母に話をしても耳を貸さず、私たちのローンとかを心配して話が進みません。たしかに私も今、実家が一つだけ建てたマンションの保証人だから、これ以上借金も怖いのですが、たとえ母が亡くなってからもいかにしたらいいものか、老朽化もあり悩んでいます。大阪市内の土地で、地域にも迷惑をかけたくないので、何も進まず悩みます。

(大阪府/52歳/女性)

回答

“ 解体費用には補助金が出る自治体もあります。調べてみましょう ”

解説

(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)

「文化住宅」には2種類の意味があります。1つ目の意味は大正から昭和にかけて建てられた和洋折衷の住宅、2つ目の意味は関西地方で高度経済成長期に建てられた集合住宅のことです。お住まいが大阪府とのことですので、ここでは2つ目の意味ととらえてお答えします。

当時流行した文化住宅は「木造モルタル建て、瓦葺き、風呂無し」が特徴で、労働者の住宅不足に対応するため建てられました。ご相談の物件も非常に築年数が古いかと推測します。管理状況にもよりますが、ご心配にあるように、災害による危険性は高いです。平成30年に関西地方が台風による甚大な被害を受けた際、当センターには戸建てよりも長屋やアパート等の集合住宅の破損被害に関する相談が多く寄せられました。建物の状態があまり良くないようであれば、台風シーズンを迎える前に解体を検討されることをおすすめします。

大阪市では古い木造住宅の解体費用の補助制度が用意されています。対象エリアやさまざまな要件がありますが、対象となると集合住宅の場合は150~200万円の補助利用が可能です。このような制度を利用できないかどうか、まずは空き家の所在している自治体の役所に確認してみましょう。

補助利用しても費用捻出が難しければ、売却についても検討してみてください。解体は買主負担という形で売却する方法もあります。

台風等の自然災害等で他人に被害を与えてしまった場合、経年劣化に対応していなかったなど、本来対応すべき安全性を欠いていたと判断されると損害賠償の対象になります。そうなると解体費よりも高い金額になる可能性もあります。その点も含め、お母様としっかりとお話されることをおすすめします。

上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事)
2013年 NPO法人設立。全国で空き家などの適正管理や利活用に取り組む。
東村山市空家等対策協議会副会長など、複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員も務める。
『あなたの空き家問題(日本経済新聞出版社)』著者。
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