Q20 マンションの給水管が劣化しているが、修理するか意見が割れています
クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「マンションの給水管が劣化しているが、修理するか意見が割れている」というお悩み。マンション管理の専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)
相談内容
マンションの給水管が劣化しています。直したほうがいいと思うのですが、修理費が高く、ほとんどの住人が気乗りしない様子です。放置するとどんな問題があるでしょうか。
回答
“ 住人トラブルに火災保険料増額…漏水事故になれば多くの問題を招きます ”
解説
(マンションみらい価値研究所 所長 久保依子)
給水管が劣化すると管にピンホールという微小の穴が開き、そこから漏水が発生します。特に上階から下階への漏水は深刻なトラブルに発展する場合があります。よくあるのが、上階の人は普段通りに生活していただけなのに知らぬ間に専有部分の給水管が劣化していたせいで漏水が起こり、下階の人から突然損害賠償請求をされるパターンです。上階の人は、洗濯機の水をあふれさせたような場合と違って「自分は何も悪いことはしていない」と主張します。加害意識がないまま起きる事故であるという特徴が、トラブルを大きくさせる原因となっています。
放置して事故が多発すると、管理組合が加入している火災保険の保険料が増額になることもあります。いずれかの住戸ですでに漏水事故が発生しているようであれば、早期の工事実施が望まれます。
ほかの所有者の認識が不足している場合には、理事会に働きかけて、「当マンションでは、すでに〇件の漏水事故が発生しています」というおたよりを配布するなど、状況がひっ迫していることを伝えていく努力が必要です。
また、給水管の劣化に伴う工事には、もうひとつ問題があります。費用負担者のわかりにくさです。
通常、専有部分は所有者が工事を行い、共用部分は管理組合が工事を行います。しかし、給水管は共用部分から途中で分岐し、専有部分になります。途中で工事をすべき人が変わってしまうのです。効率的に進めるためには、管理組合が専有部分と共用部分を一体化して工事することが最適だと考えられますが、この工事区分の考え方には諸説あるのが現状です。現在、区分所有法の改正検討会ではこの問題も議題のひとつになっているようですので、近く整理がされ、給水管工事もしやくすなることが期待されます。
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