「“繁殖引退犬”の体に異常が・・・」番組に寄せられた声を取材しました
ペットショップに子犬を供給するため、ブリーダーの元で飼育されている繁殖犬。その役割を終えた「繁殖引退犬」が手放され、行き場を失う事態が広がっています。中には山林などに捨てられたとみられるケースもありました。
こうした「ペット業界・繁殖引退犬を巡るトラブル」について、クローズアップ現代の情報提供窓口「スクープリンク」で募集したところ21件(2月5日時点)の声が寄せられ、実際に2件の情報が取材・放送につながりました。
・クローズアップ現代「さまよう繁殖引退犬 ペット業界の“異変”を追う」(2024年2月5日放送)
・おはよう日本「繁殖引退犬 譲渡が広がる中で・・・」(2024年2月8日放送)
情報を寄せて下さったみなさま、ご協力いただきありがとうございました。実際にどんな情報が取材・番組へつながったのかをご紹介します。
情報提供➀「声帯が切られて鳴けないマルチーズ」
繁殖引退犬を引き取った飼い主から寄せられたのは、犬たちの「体の異常」でした。
去年10月、保護団体から繁殖引退犬のマルチーズを引き取った女性から届いた声です。
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番組に届いた声
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うちの子は2つの大きな保護団体さんを経て、うちの子になってくれました。初めて会った時に声帯がないことに気づきましたが質問したところ、団体さんでは把握されていませんでした。
女性は家に迎え入れるかを決めるトライアルの期間中に鳴き声の異常に気がついたといいます。声を出して、うまく鳴くことができなかったのです。
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繁殖引退犬のマルチーズを引き取った女性
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「普通はワンワンキャンキャン言うと思うんですけど、ハフハフみたいな吐息ですかね。病院でも診てもらったら、のどに炎症もないからおそらく(声帯が)切れているという話でしたね。もっと命と向き合うというのをきちんと考えないといけないんじゃないかな」
業界の関係者によれば、近隣からの鳴き声の苦情に対応するため声帯を切るケースもあるといいます。
保護団体に問い合わせると、「そうですか?」と言われ、それ以上詳しい事情を聞くことはできなかったといいます。
情報提供➁「あごが溶けて無くなったチワワ」
病気が放置されたとみられる情報も寄せられました。
近所のブリーダーが廃業すると聞き、繁殖引退犬のチワワを引きとった女性から届いた声です。
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番組に届いた声
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長年保護犬を預かり育ててきました。最近は繁殖犬3匹の里親になり、1匹は我が家に来て1年未満で亡くなりました。共に保護したもう1匹も我が家に来た時には、顎の骨も、歯も全くありませんでした。
現在5年目になり既に高齢犬となり無事に年を越せましたが、彼の生命力に感謝する毎日です。愛されるペットを提供されるための努力をされる、良識あるブリーダーがおられることを信じたいです。
女性が獣医師に診てもらうと「下あごの骨が溶けて、無くなっている」と言われたといいます。歯周病が放置されたことが原因だとみられています。
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繁殖引退犬のチワワを引き取った女性
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「(引き取る時)細かい話は何も無かったですね。あごまで無いというのは私も初めてだったので、ショックでした。この子たちを見ているとどれだけ親犬たちが体を削っているのかと思います」
ディレクター 取材後記
「スクープリンク」に寄せられた声を通じて、飼育する繁殖犬の適切な管理を行っていないとみられる業者の存在が明らかになりました。不適切な飼育を行う業者の摘発が相次ぐ中、ブリーダーそのものの存在を疑問視する声もあります。
一方で、取材を通じて、動物福祉の観点から適切な環境で飼育をするブリーダーの存在も目にしました。動物の繁殖環境について、課題が多く残っていることは事実であり、業界にもそうした実態をベールで覆い続けるのではなく、今後は改善に向けた一層の努力が求められていると思います。今後の取材では、今回、みなさまから寄せられた声にあった課題の部分はもちろん、改善に向けた業界の模索も取材していきます。引き続き情報提供をお待ちしております。
◆放送記録👇
・クローズアップ現代「さまよう繁殖引退犬 ペット業界の“異変”を追う」(2024年2月5日放送)
◆見逃し配信は2月15日まで👇
・おはよう日本「繁殖引退犬 譲渡が広がる中で・・・」(2024年2月8日放送)
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