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物価高騰、あまい資金計画… “お金や管理運営のトラブル”に陥りやすいマンションは?

物価高騰で、管理費や修繕費などの値上がりが止まりません。
さらに、本来必要な額の修繕積立金を集めておらず、大規模修繕を迎えたときにお金が全く足りないというケースも。

また、そうした状況に便乗した業者が、不正な水増し請求をするというトラブルもあとをたちません。どんなマンションが、特にお金や管理運営のトラブルに陥りやすいのか、専門家に聞きました。

(クローズアップ現代取材班)

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お金のトラブルに陥りやすいマンションの特徴は?

年間1000件以上、マンション管理の相談に乗っている弁護士の香川希理さんに、「お金のトラブルに陥りやすいマンション」の特徴を挙げてもらいました。

香川さん

やはり一番の問題は「無関心」です。ここ1年、特に物価高騰の影響を受けて、マンションに関するお金や管理運営の相談が非常に増えています。ただ相談に来るということは、まだ管理に関心があるマンションです。本当に問題を抱えているマンションは、問題があること自体に気づいていない。そういったマンションがたくさんあると感じています。本来の理想は、区分所有者が主役となって管理組合がきちんと運営を行っていくことですが、それが無関心や高齢化で難しくなっています。


そうした中で、お金のトラブルに陥りやすいのは、特定の人や会社に任せきっているマンションです。例えば管理会社や建築コンサルタントなどが、全てを取りしきり、つながりのある業者などへ工事や運営業務を発注することが常態化していると、不正の温床になりかねません。管理に無関心な所有者が多いと、理事長も押しつけ合いになったり、1年ごとの輪番制になっていたりします。すると理事長が何も理解せずノウハウも全く引き継がれない。そうして業者の言いなりになってしまうようなマンションが危ないと思います。一方で、特定の人が理事長を長期間続けていて、業者と癒着するケースもあります。

トラブルに陥らないための防御策

ーでは、お金のトラブルに陥らないために、具体的にどのような防御策があるのでしょうか。

香川さん

やはり所有者自身が運営主体なんだと自覚をしっかり持つことです。そして自分たちでも見積もりをとること。業者を選ぶときも任せきりにせず、自分たちで探してきた別の専門家にチェックしてもらいながら、できることならばダブルチェックの体制があるといいと思います。


いま注目されている、外部の専門家や管理会社を管理者にする『第三者管理』についても、「楽だから」という理由で任せきりにするのではなく、区分所有者が理事会や監事として、管理者を丁寧にチェックする体制にすることが必要です。

これから買う人が確認すべきこと

最後に、これからマンションを購入しようという人が、どういう情報を確認すべきなのかも伺いました。

香川さん

国の調査によると、マンションを購入する人のほとんどは、間取りや立地を優先し、共用部分の維持管理状況は、ほとんど考慮していません。しかし、「マンションは管理を買え」という言葉があるように、マンションを購入する際には管理状況を調査検討すべきです。


ではなぜ、「マンションは管理を買え」なのでしょうか。この問題の本質には、多くのマンション購入者の「勘違い」があるように感じます。つまり、マンションの管理をほとんど知らない方々は、「マンションを買う=部屋(専有部分)を買う」と考えていると思います。


しかし、法的には、マンションを買うと、部屋(専有部分)だけではなく、共用部分や敷地の共有持ち分も買うことになります。さらに言えば、共用部分や敷地の権利とともに義務(管理義務や事故が起こったときの賠償義務など)も負うことになります。しかし、多くのマンション購入者は、その認識がありません。このことが、購入後の「無関心問題」や「管理不全」を引き起こしていると感じます。


「マンションは管理を買え」の具体的な中身として、ぜひ以下のようなポイントをチェックしてみてください。

①管理組合の修繕積立金会計の残高

香川さん

基本的に残高が多ければ多いほどよよいと思います。ただし残高が多くても、適切な時期に大規模修繕工事が行われていなければ、結局はお金がないのと一緒です。

②マンションの修繕状況や修繕履歴

香川さん

適切な時期に適切な大規模修繕工事が行われているか。外壁工事や漏水補修工事が頻発している場合には、そもそも施工不良マンションのおそれがあるので要注意です。

③毎月の管理費、修繕積立金の金額

香川さん

高すぎれば毎月の負担が重くなります。一方、安すぎてもマンションの管理修繕が適切に行われないリスクがあります。

④総会、理事会の開催状況、出席状況

香川さん

適切な頻度で定期に行われているかどうか。また、行われているとしても、出席などが適切にされているか否かもチェックしてみてください。

⑤管理規約、使用細則の中身

香川さん

標準管理規約の改正などを反映しているか。また、まれに適切性が疑われる規約、細則が独自に設定されている管理組合があるため、全文を一読すべきだと思います。

⑥管理組合内での紛争の有無

香川さん

旧理事会と現理事会で訴訟が起こっている管理組合や、毎年クレーマーから訴訟を起こされている管理組合があるため、要注意です。

⑦管理会社の管理体制

香川さん

自主管理でうまくいっている管理組合もありますが、うまくいっていないケースも多いです。また管理会社に委託している場合は、一部委託か全部委託かも確認すべきです。

(一部委託の場合には、何を委託して何を委託していないかも確認してください。)さらに、マンション管理を副業的に行っている会社の中には、専門知識や経験が不足している会社もあるので要注意です。

トラブルなどの相談状況

全国各地で管理組合からの相談に乗っているNPO法人全国マンション管理組合連合会に寄せられた管理運営やお金に関する相談件数は、最近増加しています。

連合会の会長を務める畑島義昭さんは「特に今年は物価高騰に関する相談が多く寄せられている。管理会社から管理費や修繕積立金の値上げを提示されたり、予定していた修繕工事の見積額が変わってしまったりするなどのケースもあります。こうした物価高騰などに対応して、外部の専門家などに相談しながら、いち早く資金計画などを見直すことが大切です」と語ります。

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この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

みんなのコメント(20件)

悩み
マンション管理悩みヒト
70歳以上 男性
2024年1月19日
とても参考になりました。現在長期修繕計画作成中です。修繕積立金のUPが避けられそうもありません。住民の高齢化が進み、多くが年金生活者、値上げに耐えられるか、賛同を得られるか、もっと工事費を押さえられないか、苦慮しています。
感想
トントン拍子
50代 男性
2023年12月23日
過去にも何度か取り上げて下さいましたが、今回は管理計画認定制度が始まったこともあってか少し踏み込んだ番組内容となっており、大変感謝申し上げます。
3月~6月ぐらいは通常総会シーズンなのでマンション管理についての関心も最高潮になる時期です。
管理会社にお任せの他人事ではなく、自分事に考える人が増えればいいなと思っております。
これからの番組作りに期待しております。
宜しくお願い致します。
体験談
KON
70歳以上 男性
2023年12月21日
この報道では、マンションが抱える三つの老い(建屋老朽化・住人老朽化・管理員高齢化)を受け、区分所有者自らが、自分たちの問題としてどう捉える必要があるかを問いかけていましたが、今後の報道で、現状のマンション管理組合での理事会。さらには総会がどう機能していないかをもう少し掘り下げて頂ければと思います。多くの管理組合での、総会資料や理事会議事録は通り一辺となっといるようにも思え、何が、今問題なのかを区分所有者が知るような資料。ここからの議論が出来る様な、データーの提示を急ぐ必要があるのではないでしょうか。もう少しかみ砕いた資料として作成するためには、管理会社にお任せではできない可能性もあり、理事会や長期委員会的な所での解析も必要となるのではと感じています。
感想
西郷隆盛ファン
60代 男性
2023年12月21日
改めて、勉強、復習させて頂きました。
感謝申し上げます。
継続して取り上げて頂ければ、幸いです。
悩み
湯に入る
60代 男性
2023年12月20日
今週末にマンションの臨時総会が開催され、そこで給湯管の全戸一斉更新工事が承認される予定です。本来、給湯管は専有部に属し、工事は個人負担なのですが、規約を改正し修繕積立金から支出することになりました。住戸の間取りが21種類あり、それぞれ工事の難易度が異なる為、仕上がりに大きな違いが生じることがわかりました。同様の仕上げにする為には追加で個人負担が必要になり、不公平が生じています。理事会は経費削減や工期短縮のことばかり考えて、少数の反対意見に耳を傾けてくれません。管理会社の問題もありますが、理事会の熱意が足りないというのが私の悩みです。
感想
haitekuwan
50代 男性
2023年12月20日
とても興味を持ちました。うちのマンションも、チェックリストの半分が該当しました。もっと関連の放送をしてほしいです。
マンション管理を考えるきっかけになりました。
感想
くまさんだーあ。
60代 男性
2023年12月20日
タイムリーな話題で、有り難うございました!要は、儲け儲け?来年は、第2の大規模改修の前哨戦?面倒くさがらず、皆でやるきゃならないのです!番組見て元気貰えました!
質問
DGSS管理組合理事長
50代 男性
2023年12月20日
管理組合の理事長です。リアルに危機感を感じており、マンション住民に周知したいと思います。
体験談
アニマル・すみか
60代 女性
2023年12月20日
管理を委託しています。・年一回の総会時に必ず費用のかかる議案が出てくる。・消費税率が上がる直前の議案では現行の税込金額と、上がる税率が未定という理由で値上げ予定額の方が原価で表示してある。先月の総会の案内文書に、理事長名での文書には出席を促す文言が有るのに、別にA4紙により大きな字で出席を控える様に促す管理会社名での文書が入っていた。30数戸のうち出席は4戸。・その総会の中で管理会社が作成した議案書の中の年数が間違っていて1年早い出費をする内容になっていた。この事を指摘したのは出席していた4人の中の1人。この状況の中行われた数年前の大規模修繕の完成度の低さ、住民には諦めの雰囲気があると感じる。他にも駐車場の床面の凸凹修繕工事での不備を指摘しても返答が無い。等等。当然修繕積立金も上昇しています。番組を見てよりいっそうこの先が不安です。
質問
まねすけ
60代 女性
2023年12月19日
姪の父が持つマンションですが、購入後転居したため賃貸していたのですが、賃借人の方より管理会社にトイレのウォシュレットが壊れたということで、連絡があったとのことで、修理の見積もりがきたそうです。その見積もりが、20万だったとのこと。うちがウォシュレットの修理をしたとき、2万かかっていなかったため、管理会社のキックバックを考え連絡したところ、共有部分しか管理していないため関与していないとのこと。
結局、交渉により7万円の見積もりになったとのことだったが、家賃と相殺になっているとのことで、詳細は不明となっているとのこと。
この管理会社の記録のデータでは、トイレの点検の以来の記録はあるとのことです。
どこで管理しているのか全く分からない状態です。
(ある不動産会社の売り物件の詳細に記載されている内容を見ると、その会社に全部委託になっています)
感想
SDGS
2023年12月19日
先日、年1回のマンション総会を終えたばかりです。参加者は毎年輪番で交代する役員と数名のメンバーのみで行いました。
まさに本日の番組の内容に当てはまったマンションです。日本のマンションの殆どがこういうマンションでしょうが、そうすると将来同じ問題が同時に発生することになる、まず管理費、修繕費の明細、居住者の交流に無関心であることに不安を感じます。安心して生活できる環境は自分たちで作っていくものという事を住民が認識するにはどうすればいいのか、修繕費が値上がりするタイミングまで無関心でいるのか。
今日をきっかけに、まずは住民に、この番組の事例をみてもらう事から始めようと思います。
以前からこのような問題は取り上げられておりましたが、わかりやすく参考になります。
今後も定期的にマンション問題の番組を放送してください。
感想
師走もマイペース
50代 女性
2023年12月19日
子育ても一段落したし、夫も定年間近だし、まさに中古築30年のマンションを契約・購入しました。2軒目。小規模マンション。現在、未入居、リノベーション中。
初めは、賃貸マンションを探していましたが『総体的に分譲の方がメリットがある』とのアドバイスがあり(持家願望は無かったけれど)同意して分譲マンション探しにチェンジ!他県にファミリー向け築古中古マンションを持っており約10年住んでいたので悩みましたが…
低予算だけど、ネックは管理費+修繕積立金が高いなぁ!と感じました。
不正な業者が多く存在すること、全く問題意識がなかっただけにショックですが、知れて良かったです。
低コストとは言え中古マンションも良し悪しですね?
やっぱり他人任せではいけません。汗
質問
m
70歳以上 女性
2023年12月19日
今日の放送をタイムリーにみることができました。
住民自身が管理会社任せにしない、になる程思いました。
来年は2回目の大規模改修があります。
管理会社が、三社からの見積もりを出して来ましたが、私を含めて内容がよくわからない役員が集まっています。
それで、その適正認定マンションの認定を受けたいとおもいました。具体的には、自治体の問い合わせ窓口はどこですか?
どの市町村にもあるものなのでしょうか?
感想
非公開
60代 男性
2023年12月19日
自治体の管理計画認定制度、管理業協会のマンション管理適正評価制度ともに申請には費用が掛かる。有効期限もある。申請事項の変更にもお金がかかる。番組で紹介していたように多くのマンションは役員が輪番で毎年変わる。理事長と監事が交代したら各5千円払って変更申請をしなければならない。怠ると管理者である理事長に刑事罰が科される。前の理事長が引き継ぎを怠ると次の理事長が前科者になるという仕組み。弁護士を呼んだんだからその辺を質問してもよかったのでは?こんな制度だから自治体のほうは10万件あるといわれるマンションのうち現状300件程度、管理業協会のほうは3千件程度しか取得していない。こんな制度にメリットがあると思います?固定資産税が減額になるのは認定制度に申請して2年以内に自治体の指定するマンション管理士によって修繕計画を策定し大規模修繕工事を実施した場合。例の弁護士はマンション管理士か。非常に偏った情報
悩み
489
40代
2023年12月19日
以前、貸していたマンションで、大規模修繕を行い、後日(あまり、訪ねる用事も無いので、約一年後になったかと思います。)行くと、マンションの屋上に有ったハズのフェンスが失くなっていました。
防犯カメラも無いため、誰がいつ外したのか不明です。また、一階部分が店舗に貸し出されていますが、一部共用部分となっており、店舗から出入りが必要となっています。その共用部は本来、店舗で使用を許可していない場所となっています。以前なら、扉が付いており、外から鍵を開け出入りが可能でした。(昔の店舗の人はなぜか、鍵を持っていました。)管理会社がその鍵も管理していたかは不明ですが、扉もいつからか失くなっていました。
今は、扉の代わりにスチール棚が置かれて、店舗の人が勝手に使っています。(棚が有り入りづらくはなっています)外から見える状態で、放火が心配されます。
管理会社の責任はないのでしょうか。
体験談
グランマ
70歳以上 女性
2023年12月19日
一年前に住んでいたマンション(20年居住)の大規模修繕の際、潤沢な積立金があるにも関わらず一時金を一戸あたり200万円以上取られました。理事長が不動産会社で子飼いの業者に修繕依頼していた事も不審でしたが、表だって問題視出来なかった原因は、居住者全員が総会案内をよく読まないで委任状を提出していた事でした。その事だけで何も問えず、釈然としないまま銀行から借入までして支払いました。反社会的な会社経営者の理事長に嫌気がさして、去年引越ししました。忘れようと思っても、今でも納得出来ずその事を思う度、怒りを禁じ得ません。よく読まないで委任状を出してしまった不覚さを後悔するばかりです。
感想
PJ
60代 女性
2023年12月19日
12月28日で大規模修繕が終了しますが今回は管理会社がコンサルタントで工事中ほとんど姿みせず。工事は建装工業。工事終盤エントランスの屋根部分の修理が必要と250万円追加請求される。コンサルタント料金は150万円。理事会も管理会社に任せっきり。この人達の考えを変える事はできないのが悔しい。ちなみに前回の大規模修繕の時は理事をして、京都市認証のコンサルタントを頼み工事会社も理事達で決め、管理会社は一切入ってもらわなかった。
感想
べべ
60代 男性
2023年12月19日
12/19 マンションの第三者管理(者)について
管理者が勝手に修繕を実施し積立金が減っていってしまう報道がなされましたが、区分所有法第17条(共用部の変更)によれば組合員の3/4以上の賛成が必要とあり、そもそも違法不正で損害賠償の対象ではないでしょうか!規約よりも区分所有法は法的に上位でもあり利益相反よりももっと重要な点であると思います。
提言
桜島
60代 男性
2023年12月19日
管理組合の役員は成り手が見つからない為、輪番制にするとこれまでの管理状況が誰もわからないまま問題に適切な対応が取れないことが増えてきます。
居住者の中から専門的な知識のあるメンバーを加えてさまざまな問題に対処することが望ましいです。
体験談
桜島
60代 男性
2023年12月19日
竣工後2年目に修繕積立金を3倍に値上げしてすでに2回の大規模修繕を実施して順調に暮らしています。築24年
競争入札にも問題あり。落札する為に徹底的に原価圧縮するため耐久性に悪影響を及ぼしています。