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"僕たちひとりひとりがこの世界の未来" 【東部ハルキウ イワンさん(15)】

毎日爆音が聞こえ、震える窓から煙が見える生活を送っていたという15歳、イワンさん。

8月に放送した「世界10代ウクライナ通信」という番組に、戦闘が続いたハルキウ州の自宅から「自撮り動画」を送ってくれました。

イワンさんが、世界の10代に今伝えたいこととは。

(クリエイターセンター 第1制作センター ディレクター 谷 紗耶香)

※2022年8月13日放送「世界10代ウクライナ通信(2)」を元に記事を作成

ウクライナ東部ハルキウ州・イワンさん(15)
※2022年7月26日に送られてきた動画から使用。

"目の前で人が爆撃される様子を見た"

侵攻開始から激しい攻撃にさらされてきたウクライナ東部ハルキウ州に暮らすイワンさんは、15歳ながらにとても悲惨な体験をしました。

ハルキウで暮らすイワンさん(15)

「僕は戦闘が継続している場所にいます。
毎日爆音が聞こえ、窓から煙が見え、毎日窓が震える生活を送っています。
目の前で人が爆撃される様子を見ました」

目撃した凄惨な現場の中には、友だちの弟もいました。

ハルキウで暮らすイワンさん(15)

「私の友だちは心が壊れてしまいました。僕が支えていかないと・・・」

15歳が町に残った理由「学校の勉強を続けたかった」

母と弟は、ドイツに避難しました。
しかし、イワンさんは父と二人でハルキウ州に残り暮らしています。

イワンさんには避難しなかった理由がありました。

ハルキウで暮らすイワンさん(15)

「学校の勉強を続けたかったから」

しかし、戦闘が予想より激しくなり、オンライン授業を受けていても、爆撃音や避難でほとんど集中できなかったそうです。

そんな彼が、心の安定を保つために続けてきたのがサッカーや自転車に乗ることでした。

サッカーをするイワンさん
自転車に乗るイワンさん

しかし、戦闘が激化する中で外に出るのも危険になり、サッカーや自転車を楽しむことさえ難しい状況になったと言います。

戦地から届いた自撮り動画「世界の10代に伝えたいこと」

そんな中、世界の10代に伝えたいことを「自撮り動画」で送ってくれました。

イワンさんから送られてきた「自撮り動画」
※映像は2022年7月26日に送られてきたものです。
こんにちは ススロフ・イワンです。
ウクライナのハルキウ出身の15歳です。
おわかりだと思いますが、僕は戦闘が継続している場所にいます。
毎日爆音が聞こえ、窓から煙が見え、窓が震える生活を送っています。

Q10代のみんなに伝えたいことは?

皆さん 何かをする前に自分や自分の利益以外のことを考えてみてください。
まずは子どもやお年寄りのこと。
害を与えるも助けになるも自分の行動次第です。
世界のどこに住んでいてもひとりひとりがこの世界の未来なのです。
だからこのことを忘れずに次の世代に伝えてほしい。
僕たちひとりひとりがこの世界の未来です。
その未来がさらにその先の未来につながります。

イワンさんが世界の10代に伝えたいのは、「世界のどこに住んでいてもひとりひとりがこの世界の未来なのだ」ということです。

今回の「戦争」について、「何かをする前に、自分の利益以外のことも考えてみてください。まずは子どもやお年寄りのこと。害を与えるも助けになるも自分の行動次第です」とイワンさんは言います。

イワンさんは部屋から出ることができない日々の中で、一人でも多くの若者がこのように考えて行動することが平和な世界につながると以前より強く考えるようになっているのです。

15歳の少年である彼は、戦闘によって”少年時代”を失い、すでに大人のようです。
戦闘は、多くの10代から”ティーンエイジャー”らしさ、学ぶ権利、感情も奪ってしまっているのです。

イワンさんから自撮り動画を送ってもらってから約3ヶ月が経ちます。
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月3日、9月に入ってからハルキウ州で450を超える集落を奪還したことを明らかにしましたが、今なお戦闘が続く地域もあります。イワンさんが今、再びサッカーや自転車を楽しむ日々を取り戻せていることを願っています。

世界10代ウクライナ通信(2)

2022年8月13日放送
世界の10代が国境を越え語り合うシリーズ。ロシアによるウクライナ侵攻からおよそ半年、泥沼化する武力侵攻に各国の10代は何を思い、どんな未来を描くのか。

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担当 藤松翔太郎ディレクターの
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