「これ以上、1人で頑張らなくていいよ」 宮城県東松島市出身・武山ひかるさん
「能登半島地震を経験した“子どもたち”へ、私がいま伝えたいこと」
このページでは、かつて東日本大震災などで家族や友人、ふるさとなどを失った“子どもたち”からのメッセージを紹介します。
東日本大震災を経験した、宮城県東松島市出身の武山ひかるさん、23歳です。
小学4年生のとき、学校でテストを受けている途中に大きな揺れに襲われました。
武山さんは迎えに来た家族と一緒に学校から高台に避難。
その途中、車ごと津波に飲まれそうになったといいます。
幸い家族は無事でしたが、学校の同級生などを亡くしました。
仮設住宅に入居するまでのおよそ3か月間、避難所を転々としながら家族5人で生活しました。
武山さんは被害の状況が分からないなか、今後の生活への不安や避難所での不自由な暮らしにストレスを抱えていたといいます。
さらに、避難所生活で十分に睡眠が取れない母親の姿を見て、子どもながらに気を遣い、自分の思いを吐き出すことができませんでした。
いまは福祉関係の仕事をしながら、自分の被災経験などを伝える語り部の活動を行っています。
自分と同じように、能登半島地震で大切なものを失った子どもたちへ。
武山さんからのメッセージです。
「もう十分頑張っていると思うので、これ以上1人で頑張らなくていいよって伝えたいなと思います。
避難所生活の中で子どもたちって邪魔になることが多いんですよね。親や学校の先生がすごく忙しくしているのを見て、『自分はいらない存在なんじゃないか』って思うこともあったし、何か忙しそうにしてるから、不安な気持ちも話せなくて夜眠れないこともあったし、そういうのも子どもながらにあったので、しかも言語化できないんですよね。
不安な気持ちを何もできないから、ちょっと座っているしかないとなると、変な方向にというか。『これいつまで続くんだろうな』『あの人生きているかな』『この後どうなるんだろうな』みたいな感じで、どんどん悪いほうに思考がいってしまう。
大人の人たちも厳しいと思うんですけど、寝る前にひと言『大丈夫だよ』って声をかけるとか。そういうのがあったら、震災の時の私はすごく落ち着いたかなって思います。
『自分たちでやらなきゃ』だけじゃなくて、周りからの手を借りても全然いいのかなって思います」