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『嫌なこと考えないと人間じゃないんだな』45歳男性の声【音声コンテンツ Vol.10】

月に1回放送している「みんなでひきこもりラジオ」というラジオ番組。今回もこの留守番電話に寄せられた声を紹介していきます。皆さんの声を聞かせてもらうために開設したこの留守番電話ですが、どんなにかけていただいても取材班が取ることは決してありません。24時間、ずっと留守番電話というちょっと変わったものなんです。

1本あたり2分の1人語りをしていただくようなものになっています。今回は45歳の男性からのメッセージをご紹介したいと思います。ひきこもりの定義について、自分が当てはまるようだけど、どうなんだろうかというまさにその葛藤の声を紹介したいと思います。

今回も勇気を振り絞って受話器を手にしてくださったと思いますが、その言葉をぜひ聞いてみてください。音声を変えてご紹介します。

音声が流れます

「ひきこもり」ってさ、あの、定義、「自分も興味あるところしか行かない」、「人とあんまり会わない」っていう。今そういうところにしか行かないっていうか行けない状況じゃん。自分もそうなんですけど。それでひきこもりって言われるのはちょっとどうなんだっていう感じ。そういう定義にはまっちゃったんでね。だけどそういうカテゴリに入れられちゃうと、ちょっと。うーん。なんだろうね。それを「ひきこもり」というのか。仕事探し、ね、そこにしか行かない、自分の必要なものしか買いに行かない。だってほかに出かけるところないじゃんって話。うーん、定義をちょっと考え直して本当にひきこもったことある人がこういったところで作った方がいいのかなって気がしないでもない。わからんな。俺はひきこもりなのかな。わからんな。すみません。

はい、この留守番電話にはですね1回2分という時間の限りがございます。何度かけていただいてもいいと申しておりますけれども、この方、その後6回に渡ってメッセージを吹き込んでくださいました。ひきこもりという言葉と、自身との間での葛藤から皆さんへのメッセージまで語ってくださいました。

ぜひ続けて聴いてみてください。

うーん、なんていうんだろう、ひきこもりなのかこれ。再就職ができない。年齢ではじかれます。焦り、ここまで来ちゃったらなんかもうあかんぞっていうのと、どうでもいいやっていうのがあるんですよね。どっかにね。資格はね、そんなに持っていないんだけど。どうなのかなー。なんか後ろめたい気持ちがあるんだな、なんかな。

なんだろう、さっきから3回目なんだけどさ。なんだろう、先の不安っていうのかな。45なんだけど。再就職、なんとか模索して動いてはいるんだけど、年齢で落とされる。そりゃそうだよね、資格も持っていなくて経験もないのに、45の男とる人どこにいるんだろう。そらひきこもりになるわい。人とあんまり会わないじゃん。会いたくないじゃん、後ろめたいんだから。みんな活動して動いているんだから。社会のことにはじかれている感じするじゃん、なんか。疎外感、そっからひきこもるわけ。なんかね。なんて説明したらいいんだろう。たまにね、このおっさんでもね、なんか悲しくて泣きたくなっちゃうの。はき出せばいいんだ。なんだろうね、よくわかんないや。

うーん、なんだろうね、経験していることがひきこもりなのかどうかもわからん。俺は“軽傷”だと思う。家にこもっているほうが楽。楽っていうのかな。人間関係、関わりたいんだけど、関わりをどっかで絶たれている。自分で断っている。どっかあるんだよな、自分で関わりを持つようにしなくちゃいけないんだけど、そのアイテムが、今ない。自分の趣味のこと以外。仕事で誰かと関わりたい。うーん、売るもの、発信するものがあって、それが仕事としてお金が入ってくるものがあって、収入があっての関わりっていうのが断たれている。まったく生産性のない、趣味的なところで誰かと関わっている。だけどそれはいずれ生活するためのお金っていうのかな。なんとかやってんだけど難しいんだよ。うん。

うーん、焦っているよね、いろいろ。いや、私焦っちゃっている、うん。45だしさ、なんかこう、今無職だしね。再就職探したりしても、ないわけだよ。じゃあさ、「何かすればいいじゃん。起業」。お金が必要になってくるわけよ。だからさ、あーってなってさ、ひきこもっちゃうわけですよ。今たぶんひきこもり状態、本当にね、中学校のときとか高校のとき、ひきこもりだったよ。自分、学校帰ってきても外行かないしね、部活とかもやっていないしね。ずっとひきこもっていたの。だから気持ちが楽っちゃ楽なんだよね。あえてそういうところに飛び込まない。甘いんだろうな、自分にな。甘ったれているんだろうな。たぶんな。わからんわー。どうしたらいいんだろう。ねー。難しい。

生きづらさって何だろう。45だ。とってくれる人いないんだよね。悪いけど45になったら体力的な問題もあって20代と同じことできない。そしたらちょっと選ぶ訳じゃん。難しいんだってそういうところは。生きづらいよ、そういうところ。あとさ、行政に対しても文句あるよ。お給料少なくて、皆さんなり手がいない。なり手がいないっていうけどお給料少ないからでしょう。国の資格持っているのにこんだけ給料少ないってどういうこと。保育士もそうだし介護士もそうだしさ。みんなが生きづらくなって、その中で一番下に沈んじゃった人がひきこもりでしょう。もうちょっと考えてほしい、本当に。てか俺らが考えないといけないんだけど。難しい話だよここは。2分じゃもたない。

自分の好きなことやっていていると、気持ちはそっちに行くから、嫌なこと考えないよね。でも嫌なこと考えないと人間じゃないんだな。たまにね、なんかしらんけど悲しくなる。おいおい泣いちゃうときもある。そういうときは泣けばいい。叫びたかったら叫べ。法に関わっちゃうこと以外、家族に迷惑をかかるやろうしね、犯罪的なことしない限りは、わーってなんかやってみるのもいいんじゃない。今までやったことないことやるとか。

45歳の男性が語るひきこもりの定義について、留守番電話の声をつないでお聞きいただきました。 皆さんどう感じたでしょうか。

これだけの想いを私たちのもとに、そして皆さんに共有してくださって本当にありがとうございました。“言葉を吐き出す、叫ぶ” そんな言葉を繰り返しで伝えてくださいました。それだけもしかしたら、自身の考えを誰かに託したり、伝えたり届けたりするっていう場所がなかなか存在していないのかなとも感じました。しっかりここで聞かせていただきました。

「泣きたい時は泣けばいいです」とか、「新しいことやってみるのもいいんじゃないか」っていうことを最後にかけて話してくださいました。“ご自身にとっての一歩”という部分、聴いた皆さんにとってそれぞれあるかなと思います。そういったことをこの男性の方が電話を通して共有してくれたのかな感じました。

私たち「#となりのこもりびと」の取材班では、皆さんの声を聞かせていただくために1本の電話を開設しました。この電話、どんなにかけても取材班がとることは決してありません。24時間、ずっと留守番電話というちょっと変わった電話になります。留守番電話のメッセージは、NHKの番組やインターネットなどでご紹介させていただくこともあります。

留守番電話フリーダイヤルはこちら0120-545-501です。ぜひ何か思ったことがありましたら、かけてみてください。
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担当 栗原 望の
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この記事の執筆者

アナウンサー
栗原 望

みんなでひきこもりラジオMC。ラジオを通じて声を聞くひと。「こんな学校だったら」「こんな職場だったら」「こんな家庭だったら」。ひきこもり当事者の声が響くような社会になるように、みんなで一緒にできることを考えます。

みんなのコメント(2件)

体験談
50代 女性
2024年1月17日
ひきこもりを利用してヘアードネーションしてます。髪にオイルを塗るなどするようになってよいかと。地震とかで、寄付できず心苦しいので。
感想
かに
40代 男性
2023年9月19日
確かに、何らかの理由で社会から取り残されてしまった時のモヤモヤする気持ちってあるんですよね。
近くで見た時と遠くから見た時の違いみたいに、今までいた所が本当はすごく風通しの悪い場所だったんだなと気づかされた時の割りきれない気持ちというか。